前回は「高額療養費制度」についてご説明をさせていただきました。各公的医療保険者(健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部・市町村国保・後期高齢者医療制度・共済組合など)への申請手続きが必要になりますが、制度を上手に活用することで私たちのお支払いする最終的な治療費を抑えられますので、活用しない手はありません。

しかし、高額療養費制度は使いづらい側面があります。それは、「1度窓口でお支払いする治療費を全額用意する必要がある」というところです。公的医療保険の負担割合は1割負担から3割負担まで差はありますが、入院治療となれば基本的にはまとまった金額が必要になってしまいます。治療を受けなければいけない状況となる時は、誰しも予期せず訪れます。さまざまな民間の医療保険があり、皆さまも加入されている人が多いと思いますが、それも手続きに時間がかかる場合や、各保険会社に提出する診断書が書きあがるのに時間がかかることも多いと思います。そんな時に役立つのが、高額療養費制度の1つである「限度額適用認定証」です。

限度額適用認定証の効果を一言でいえば、「戻ってくる治療費分を先に差し引いた額で請求する」ということです。高額療養費制度は、そもそも各公的医療保険に加入している被保険者(私たち)に対して、治療費がそれぞれの所得に応じた限度の支払いで済むようにつくられています。しかし、社会保障制度は、基本的には「申請主義」です。これは制度を利用する人が自らの意思で手続きをすることが基本であるというものです。高額療養費制度という素晴らしい制度はあるものの、それを知っていなければ使うことができない、また知っていても申請しなければ使えないのです。

治療を受けていく私たちとすれば、いつ患者となるか分かりません。治療が始まってしまえば申請したくても申請ができないタイミングもあるかと思います。だからこそ私たちは、「制度を上手に活用する知恵」を身に着ける必要があると思います。

この限度額適用認定証は、事前に申請手続きを行うことが可能です。申請手続きの流れは高額療養費制度の手続きと同様です。また、高額療養費制度では高額療養費の支給を受ける権利の有効期間があります。それは「診療を受けた月の翌月の初日から2年」です。高額な治療を受けて、まだ高額療養費制度の申請をしたことが無い人がおりましたら、支給を受ける権利がある期間かどうか確認した上で、各公的医療保険者に問い合わせてみるのも良いかと思います。

事前に治療費を抑える方法である限度額認定証と、支払いが終わった後から払い過ぎた治療費を戻す方法である高額療養費制度を使い分けて、皆さまが治療を受ける患者となる準備として暮らしにあった選び方をされて、治療費が暮らしをなるべく圧迫しないようにできれば幸いです。

社会福祉士
佐々木

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