医療情報は、今や医療機関や本、そしてインターネットでも得ることができます。しかし、今の自分に必要な医療情報は何かということがわかっていないと、最善の選択肢にはたどり着けません。

例えば、がんになっていない働き盛りの30代の人が、がんの”治療”について事細かに調べたとして今の自分の健康に役に立つでしょうか。存在しないがんは治療できませんし、医学は進歩するため、自分が60代になってがんにかかったときは今とは全く違った治療法が存在するかもしれません。

確かにそなえあれば憂いなしと言いますが、杞憂という言葉もあります。医学に対する無関心は大病の元ですが、過度な心配も返ってからだに毒であるという意見を持っています。

がんになっていない若い人にとって大切な情報は、「治療」ではなく、がんにならないための「予防」の知識ではないでしょうか。もしくは、早期発見のための「健診」の知識かもしれません。

たばこががんを起こしやすいことを知っているでしょうか。たとえ知っていたとしても、たばこを吸わないという行動を起こさないと意味がありません。

あなたは健診の結果を正しく理解しているでしょうか。健診の結果が返ってきても、その意味や、実際に病院に行く必要があるかがわからなければ、健診を受けても十分な効果を得ることはできません。

一方、すでにがんにかかってしまった患者さんが一番知りたいのは、やはりどの治療が最も良いかということでしょう。または、がんによる痛みをどのようにしたら取ることができるのかという“緩和”の知識かもしれません。最後の時をどこで過ごせるのかということも必要な情報です。

治療には大きく三本柱として、手術と化学療法と放射線治療がありますが、がんができた場所によっても、がんの進行の度合いによっても、行える治療と行えない治療があります。

がんの治療にはお金がかかるので、保険の知識も必要になるかもしれません。日本では健康保険で行うことのできる標準治療と、自費で行わないとならない先進医療、代替医療という概念が存在します。先進医療は厚生労働大臣から許可されていますが、代替医療は効果が期待できるものからまったく根拠がないものも含まれます。

情報を集める前に、まず、今、自分が置かれている状況がどの段階に当てはまるのかを正確に知ることが、何より大切なのです。

内科医
村本

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