甲状腺(こうじょうせん)は、喉仏の下にある小さな臓器で、代謝に関係するホルモンを分泌しています。甲状腺がんは、この甲状腺にできる悪性の腫瘍のことです。今回は種類やリスク要因、予防法などを解説します。

■甲状腺がんの種類

1.乳頭がん(にゅうとうがん)

甲状腺がんを発症する患者さんの多くが乳頭がんに分類されます。首のしこりで異変に気付くケースが多く、がんの進行は遅く、40代以降の女性に多いがんです。リンパ節への転移が見られますが手術で切除することで予後はよいとされるがんです。

2.濾胞がん(ろほうがん)

甲状腺の組織は濾胞(ろほう)という小さい袋が結合してできています。濾胞がんはこの細胞が変化することで発症するがんです。進行は遅いがんですが乳頭がんに比べて、血液によって肺や骨などの遠い場所に転移しやすい性質を持ちます。

3.髄様がん(ずいようがん)

髄様がんの患者さんの20~30%は遺伝によって起こり甲状腺がんの種類では1~2%程度です。カルシウムの量を調整するホルモンを分泌する細胞が悪性腫瘍に変化し発症します。乳頭がんや濾胞がんに比べて進行が早く、肺や肝臓へ移転しやすがんです。

4.未分化がん(みぶんかがん)

60代以降の高齢者に多く見られるがんで甲状腺がんの1~2%です。進行が早く、甲状腺の周りにある気管や食道への転移や肺や骨などの遠くの臓器にも転移しやすいがんです。

5.悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)

血液やリンパの腫瘍が甲状腺にできたものです。リスク因子には橋本病があり40代以降に多くなります。甲状腺が急に腫れることで呼吸困難や声がかれるなどの症状が起こる場合があります。

■甲状腺がんのリスク要因 

甲状腺がんの根本的な原因ははっきりわかっておらず、甲状腺の被ばくや、遺伝、海藻などに多く含まれる栄養素であるヨードが不足していること、橋本病などがリスク因子といわれています。

これはチェルノブイリでの原発事故後に甲状腺がんの患者さんが増加したこと、髄様がんが遺伝によって起こること、橋本病が悪性リンパ腫のリスク因子となっていることからです。

■甲状腺がんの予防法 

他のがんに比べ予後のよいがんになりますが、若い世代にも増えてきているがんです。喫煙や飲酒は甲状腺がん以外のリスクも高めるため要注意です。

リスク要因の一つにヨード不足があるため海藻を摂ることも予防に効果がありますが、日本人は普段から味噌汁などで海藻を食べる習慣があるため過剰摂取は禁物です。

また放射線被ばくを避けることも予防につながりますが、病院でのレントゲン程度であれば心配する必要はありません。

■まとめ 

甲状腺がんは他のがんに比べ予後は良いですが若い女性にも増えてきています。自覚症状が少なくはっきりとした原因も分かっていないため、定期的に検診を受け、早期発見・早期治療を行いましょう。

臨床工学技士
宮座 美帆

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