今回のテーマはAIの民主化と医療のコラボレーションがどのようなものになるかというこ
とについてです。AIの民主化とは聞きなれない言葉かもしれませんが、これは「専門知識
のない人でもAIを活用できるような社会となること」と言えます。このAIの民主化と医療
が協働すれば、自分の健康状態を何でもお見通しのAI、すなわち「AIパーソナルドクタ
ー」が実現するかもしれません。

AIの民主化の具体例

まずは、AIの民主化とは具体的にどのようなものかについて紹介していきます。この運動
の陣頭指揮をしているのは、GoogleやMicrosoft、Amazonといった巨大企業です。

Googleでは、Google Cloud Machine Learningという、自社でも使われるAIのシステムを
クラウド上で公開するプロジェクトを展開、Microsoftは”Microsoft Azure”なるものを発表
しています。これらはいずれも、ユーザーが自分の目的に合わせてAIをカスタマイズし、
それによるデータ分析を可能とするサービスです。専門知識がなくゼロからAIを開発でき
る能力がなくともAIの恩恵にあずかることができるのだそうです。

Amazonの進めるAIの民主化で最も理解しやすいのは、お持ちの方も多いであろう、AIス
ピーカーのAlexaです。AIが利用者の声と言葉を認識し、様々なことを代わりにやってくれ
るのは、まさに誰もがAIを使いこなすことと言えるでしょう。

あなたのことを何でも知るパーソナルドクター

ところで、これまでの連載で、AIはデータを学習することでパターンを認識する予測機だ
と述べてきました。このデータを、あなたの体調やバイタルチェックの数値、生活習慣に
ついてのデータとしたら、さらにはAIの民主化によりそのようなAIが誰でも簡単に使える
ようになったらどうでしょう。個人個人の健康の分析に特化し、健康管理について適切な
アドバイスをくれるAI、つまり「AIパーソナルドクター」が実現するかもしれません。

2018年現在、そのようなAIは普及してはいないようですが、多数のベンチャー企業がこ
ぞって研究開発を行っており、実現は秒読み段階とも目されています。

恐れるべきはプライバシー管理

とても有益に見えるAIの民主化ですが、むろん問題点もあります。最大の懸念は、プライ
バシーの問題です。例えばドイツでは、スマートドールという、AIによる学習機能を組み
込んだおもちゃの人形が、プライバシーを危機にさらすという点から発売禁止となりまし
た。AIにデータを提供するということは、誰かに自分のことを知られるかもしれない、と
いう危険性をも孕みます。

とくに自分の体については、究極とも言える個人情報です。またもしも生活習慣のデータ
などもAIに供与するのであれば、それが流出した際にはもはや個人は丸裸も同然とも言え
るでしょう。

情報社会となって久しい現代ですが、AI時代に入ることによりその流れは加速することで
しょう。情報技術による利便性の裏にはプライバシーを守る必要性がある、ということを
心に刻むべきです。

次回は技術面から離れた話題として「AI社会で起きうる問題―誤診の責任は誰に?」という
テーマでお送りいたします。

医療者編集部
医療AIラボ
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