さて、今回はまた薬の話に戻り、痛み止めについてお話したいと思います。第36回で
もお話したとおり、麻薬性鎮痛薬には複数の種類があり、そして換算比があります。
これらはどのように使い分けるのでしょうか。

■5種類の麻薬性鎮痛薬
どれも共通の副作用として便秘、投与初期・増量時の吐き気・眠気などが起こりえま
す。

・モルヒネ
もっとも有名な麻薬性鎮痛薬でしょう。注射薬、カプセル、錠剤、液剤と剤形も豊富で
その人にあった使い方できますが、腎臓の機能が落ちている人には副作用が強く出
ることがあります。

・オキシコドン
現在一般的に使われることが多い麻薬性鎮痛薬です。錠剤(ジェネリックでカプセル
もあり)、注射、粉薬の剤形があります。

・フェンタニル
貼り薬、注射、舌下錠・バッカル錠と珍しい剤形が多い麻薬性鎮痛薬です。口からの
摂取が難しい状況のときなどに重宝します。他の麻薬性鎮痛薬と比較して便秘になり
にくく、臓器機能が落ちているときに投与しても受ける影響が少ない傾向があります。

・タペンタドール
少々大きい錠剤のみがある新しい麻薬性鎮痛薬です。便秘になりにくく、他の薬との
飲み合わせが問題になりにくいため使いやすい薬剤です。

・ヒドロモルフォン
海外での歴史は古いですが、日本には昨年から導入された薬剤です。モルヒネから
誘導された成分で、副作用はほとんど変わりませんが、臓器の機能が落ちていても
使いやすいこと、飲み合わせの問題が起きにくいという長所があります。

■ベースとレスキュー
麻薬性鎮痛薬にはベースといわれる使い方とレスキューといわれる使い方の2つが
あります。がん性疼痛は一般的に1日中痛みが続くケースが多くみられますが、その
痛みには波があります。1日に何度か痛みが強くなることがあるといったことは珍しく
ありませんが、痛みのピークにあわせた鎮痛薬の使用は必要以上の副作用の危険
性があるため、長く効く薬(ベース)と、短く効く薬(レスキュー)の2つを組み合わせて
使用することが一般的です。

具体的には、通常時の痛みに合わせた量の長い時間効く痛み止めを12時間、あるい
は24時間ごとに使用し(貼り薬は72時間効くものもある)、痛みが強くなったときは使
用後10〜30分ほどで早く効く痛み止めで対応するといった方法です。

痛み止めを適切に使用することによって80%のがん性疼痛はコントロールできるとい
われています。次回はその使い方についてさらに掘り下げていきたいと思います。

薬剤師
深井

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