前回からの続き

仮に「病気を持ちながら働き続けることは、職場に迷惑をかける良くないことだ」というスキーマがあなたの中にあったとすると、あなたが実際にがんを発症し、仕事と治療の両立が必要になった場合(現在、多くのがんは慢性疾患化しています)、あなたはこの内なる敵と対峙することになるでしょう。

当初、あなたは自らの内に存在するこのスキーマには気づけないことでしょう。しかし、病気の治療のために職場を休みがちになると、あなたは過度に辛い気持ちを感じることになるはずです。幸運にもあなたの職場がこうした問題に対して大変に理解があり、積極的にあなたに手を差し伸べようとしてくれていたとしても、です。

あなたは、フルに働けない状態で職場に所属すること自体を苦痛と思うはずです。あなたの上司や同僚が本当の意味であなたをサポートしようとしてくれていたとしても、おそらく「表面上はサポートするといってくれているが、本当は辞めてほしいと思っているに違いない」とあなたは感じることでしょう。

この場合、あなたの持つスキーマが自らに適用されてしまうことで真実が見えなくなってしまっているのです。心理学的な言葉を用いて表現しますと、あなたの信念があなた自身に投影され、そのために心理的盲点(スコトーマ)を生じてしまっている状態です。周囲の人々には、あなたが頑なに自分を貶めていることが理解できないことでしょう。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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