前回からの続き

認知療法では、こうした自動思考とその背景に存在するスキーマの存在を明らかにしていきます。スキーマの存在に気づけば、そのスキーマが「適応的」なものであるかを考えることができるようになります。ここでいう適応的とはそのスキーマに従うことで、あなたがもっとあなたの人生に適応できるようになる、すなわちあなたの人生がより「良く」なるという意味です。

スキーマを点検した結果、それが適応的なものであれば、それで良しとします。しかし実際にあなたが不快な感情を持続的に感じているくらいですから、たいていの場合、そのスキーマは「完全に適応的」とまでは言えないことがほとんどでしょう。

スキーマが極めて適応的でないようなまずいものであれば、まったく新しいスキーマを構築して入れ替えることを目指します。また、「改善の余地がある」というくらいであれば、スキーマを修正したり微調整したりすることで、不快な感情の程度や発生の頻度を低下させることができるでしょう。

たとえば仮に、「病気を持ちながら働き続けることは、職場に迷惑をかける良くないことだ」というスキーマがあなたに存在しているとしましょう。こうしたスキーマはがんになる前のあなたにとっては、発動することがほとんどない空気のようなものあったはずです(このスキーマを用いて他者を判断したことはあったかもしれませんが…)。

ところが状況が変われば、このスキーマはあなたに牙を剥くことになります。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

この執筆者の記事一覧

がんと診断されたあなたへ

PAGE TOP