■がん告知後には落ち込んであたりまえ

がんの告知をうけた場合、多くの人はショックを受けます。頭の中が真っ白になり、自分がが
んであることを信じようとしなかったり、否定しようとしたりする心の動きが起こります。
しばらくは、気持ちが落ち込み、何も考えられない状態が続くこともあります。
これはあたりまえの反応で、決してあなたが弱いからではないのです。

しかしながら、時間とともに沈んだ気持ちが上向きになり、「がんであるという現実」を受け入
れることができるようになります。個人差はありますが、告知から治療に対して前向きな気持
ちを持てるようになるまでには、1~2週間かかるといわれています。

■がん告知後の引きこもりに注意

一方で、この気持ちの落ち込みがひどく、日常生活に支障をきたす人もいます(適応障害とい
います)。ひどい場合は人と会うのがおっくうになり、自宅に引きこもってしまう人もいます。
告知後に引きこもってしまうと、がんの治療にさまざまな悪影響をおよぼします。まずは意識
が「がん」のことばかりに集中しますので、精神的な苦痛、ストレスが高まって免疫力が低下し
ます。

つぎに、引きこもりによって体力(とくに筋力)が低下します。体を動かすことが少ないので、当
然、筋肉が減ります。食欲もなくなり、栄養状態も悪化するおそれがあります。筋肉(骨格筋)
の量や筋力が低下している患者さんは、手術後の合併症が増え、死亡リスクが高まると報告
されています。

一般的には、手術はがん告知後の2週間~1カ月以内に予定されますが、引きこもったままで
手術を受けることだけは避けたいものです。

■気持ちの落ち込みが長引くときには

まずは、家族や親しい友人などに自分の不安な気持ちを話してみましょう。人に相談すること
で、頭の中が整理されます。話すだけでスッキリし、心が落ち着くことがあります。

また、気晴らしとして、自然の中に出かける、散歩する、趣味のスポーツをする、あるいはお
気に入りの映画やテレビをみるなど、リラックスし、気持ちがよくなることをしてみましょう。ヨガ
や瞑想もおすすめです。

それでも1日中気持ちが沈んだ状態が告知から2週間以上続く場合には、主治医(担当医)、
看護師、あるいは、がん相談支援センター(全国のがん診療連携拠点病院などに設置されて
いるがんに関する相談窓口)のスタッフに相談してみましょう。いっしょに解決策を考えてくれ
、必要な場合は精神科や心療内科など専門医受診の手配をすすめてくれるでしょう。

ブログ「あきらめない!がんが自然に治る生き方」
著書「ガンとわかったら読む本(マキノ出版)」

医師・医学博士 消化器外科専門医/がん治療認定医
佐藤 典宏

産業医科大学 第1外科 講師
1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会、日本消化器外科学会の専門医・指導医の資格を取得。がんに関する基礎研究にも従事し、これまでに発表した論文はおよそ200編(うち130編が英文)。がん患者さんや家族にむけたブログ「あきらめない!がんが自然に治る生き方」。著書に「ガンとわかったら読む本(マキノ出版)」

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