前回からの続き

少し心理的な話が続きましたが、いったん実社会の話に戻ることにしましょう。あなたは、がんの診断・治療の進展に伴って、実社会に起こってくるさまざまな「揺さぶり」に一つずつ対処していく必要があります。その揺さぶりは、検査・治療・副作用に関すること、セカンドオピニオンに関すること、補完代替医療や民間療法との付き合い方、医療者とのコミュニケーションの問題、経済的負担の問題、療養生活の組み立て方、職場とのかかわり方、家族との関係の再構築、介護や緩和ケアのことなど、あなたになんらかの選択をともなうものすべてに起こりえます。

あなたがこうした強く多岐にわたる揺さぶりを、自らの精神力だけで乗り越えていく、というのはとてもつらいことですし、なによりも治療に向き合う気力をそいでしまう、という結果も招きかねません。もちろん、あなた一人で抱え込んでしまうのは良くないことであるのは明白ですが、これだけの同時多発的な問題を、一手に受け止めてくれる相談相手はいるのでしょうか。

そうです。過去には、このような広範囲の相談を持ち込める相談機関はありませんでした。海外ではケースワーカーという職種が一般的であり、相談料を払ってこうした相談を持ち込むことがよくあるようですが、日本ではほとんど普及していません。ですから、がんの闘病に関しては、適切な相談相手の得られにくい、孤独なものになりがちであったという事情が過去にはありました。

しかし、こうした事情をうけて2006年から厚生労働省の主導でがん専門のケースワーキング機関が全国のがん診療連携拠点病院を軸として設置が始まりました。個別の愛称で、さまざまに呼ばれていることも多いですが、正式には「がん相談支援センター」という名前です。この機関は病院のなかに設置されていることがほとんどですが、その病院の患者でなくても無料で利用できるのが特徴です。

つづく

総合内科専門医/臨床心理士
飯島 慶郎

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