がんをどのような検査で発見し、診断するかについてお話していきたいと思います。

■「前立腺がんがあるかどうか」を調べる検査

・PSA検査
まず、前立腺がんはどのように見つかるか、ご存じでしょうか。前立腺がんと診断される例は、近年急激に増加しました。それはなぜかというと、高齢化や食生活の欧米化などの影響で前立腺がんの数が増えてきたこともありますが、一番の要因はPSA検査の普及によって、「前立腺がんがあることが分かるようになった」ことです。前立腺がんは、たとえば80歳の男性を全て調べると約半数に見つかることが知られており、それだけよくある病気なのです。

PSA検査とは、prostate specific antigen(前立腺特異抗原)というタンパク質を血液検査によって検出するもので、いわゆる腫瘍マーカー検査のひとつです。現在用いられている腫瘍マーカー検査の多くは、すでに診断されているがんに対する治療効果の推移や、再発をチェックするために用いられることが多いものの、「がんがあるかどうか」を検出できる能力はさほど高くありません。しかし、PSA検査は腫瘍マーカー検査の中でも、そうしたがんの診断に使える腫瘍マーカーとして、有用性が確立されています。

一般的には基準値として4.0 ng/mLという値が用いられており、これをこえる場合は精密検査として針生検(会陰または直腸から前立腺に針を刺して組織を採取し、顕微鏡でみる検査)を行うことになります。

※PSAの値は年齢とともに上昇することが知られており、50-64歳では3.0 ng/mL、65-69歳では3.5 ng/mL、70歳以上は4.0 ng/mLなどのように年齢階層別に基準値を変えるという考え方もあります。その他、より細かくPSAを測定してF/T比という値を出したり、PSAを数回測定して増加速度を計算したり、前立腺の大きさを加味したりするなどといった手法もあります。

・MRI検査
MRIという磁力を用いた画像検査が前立腺がんの診断に有用な場合があります。MRI検査は機械の進歩とともに精度が上昇していますので、MRI検査でも前立腺がんの有無をある程度まで判断することが可能です。しかし、MRIで陽性でも実際はがんが無かったり、陰性でも微小ながんが存在していたりすることはあり、総合的な判断を要します。

・その他の検査
他には、直腸診(硬さを指で触る触診)、超音波検査(経腹超音波、経直腸超音波)などがあります。

■「前立腺がんがどこまで進行しているか」を調べる検査
前立腺がんが見つかった場合には、次にそれがどこまで進行しているかを診断しなければなりません。これをステージングといいます。前立腺がんのステージングとしては、主にCT検査と骨シンチ検査を行い、リンパ節・骨・肺・肝臓などに転移が無いかどうかを調べます。また、前立腺局所において、がんが前立腺の外に進行しているか、膀胱に入りこんでいるかなどの進行具合を細かくみるためにはMRI検査が行われます。

■まとめ
前立腺がんを早期に発見するには、(40~)50歳をこえたらまずPSA検査を受け、必要に応じてMRI検査・直腸診・超音波検査などを追加で受けることが大切です。もし疑わしい場合は、針生検を受け、結果として前立腺がんが見つかった場合にはCT検査・骨シンチ検査などでステージングを行い、治療方針を考えることになります。前立腺がんは進行しないと症状が出ませんから、「おしっこの症状がないから大丈夫」というわけではありません。まずは検査を受けることが大切です。

医師 泌尿器科専門医/日本泌尿器科学会所属
鈴木

研究機関でがんの研究を行いつつ、在宅医療でがん患者さんの診療・お看取りなども行っています。

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