前回は、「Iメッセージ」をご紹介しました。今回は、より複雑な事柄について相手に頼みごとをしたいときに使える、「DESC法」という手法をご紹介します。

アメリカの心理学者が提案した手法で、4つのステップで、相手に頼みごとをするときの表現方法
です。Dは「Describe:描写する:客観的に状況を伝える」、Eは「Express:表現する:自分の意見や感じていることを表現する」、Sは「Specify:特定の提案をする:相手にしてもらいたいことを、明確な言葉で提案する」、Cは「Consequence:結果を伝える:提案したことが実行された時とされない時の結果を伝える」です。

〈例1〉主治医に睡眠薬を2錠から1錠に減らしてもらいたいとき

D:今、睡眠薬を2錠飲んでいます。
E:朝起きる時、眠気が残ります。
S:私は薬を1錠に減らしてほしいと思っています。
C:1錠にしてもらえれば眠気が減ると思います。もし減らせないようでしたら、理由を知りたいです。

〈例2〉リビングで大きな音でTVを観ることが多い子どもに、音量を下げてもらいたいとき

D:あなたはだいたい音量●(数値)でテレビをみているよね。
E:私にとっては大きい音で、うるさいなあと思うの。
S:私がリビングにいるときは小さい音で観るか、ヘッドホンで聴いてほしいの。
C:そうすればけんかも減ると思う。もしできないなら、私はリビングで家事ができなくなるから、困るわ。

〈例3〉出張の多い上司にかわって、取引先から問い合わせを受けることが多く、困っているとき

D:●●さんは、出張が月●日ぐらいありますよね。不在の時、●回ぐらい取引先から連絡があり
ました。
E:私にわからないことが多く、対応に困りました。
S:不在時の対応についてあらかじめおしえていただけますか。あと、週1回ぐらい、シェアする時間をつくってください。
C:でないと、取引先に迷惑がかかると思うのですが。提案を受け入れてくださったら、私も不在時の対応をしっかりするよう努力します。

3つの例を挙げましたが、いかがだったでしょうか。ポイントは、「D」は客観的事実にとどめ、自分の感情を交えないことです。例えば、〈例2〉で音量の数値ではなく、「うるさい音で」と言ったり、〈例3〉で「出張が●日」ではなく「いつも出張でいない」などと言ったりすると、相手は嫌な気持ちになってしまいます。客観的事実であれば、相手も冷静に話を聴く体制が作れます。

よりよい人間関係を築くコミュニケーションの方法については今回でおしまいです。少しでも参考にしていただけたら幸いです。

医師・精神科医
樋野 (ひの)
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