今回は小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社から2018年1月/15日に発表されたリリース「オプジーボとヤーボイの併用療法、根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する国内製造販売承認事項一部変更承認申請」を基に新しい治療法について取り上げてみたいと思います。腎がんの新しい治療法であるイピリムマブ・ニボルマブという2つの免疫チェックポイント阻害薬の併用療法です。
 
■ 中リスク・高リスクな腎細胞がんに
イピリムマブとニボルマブの併用療法は腎がんのうち、中リスクと高リスクに分類さ
れる腎がんの第一選択薬として効果が認められました。効果が得られたのはおよそ
42%と言われていますが、9%の人でがんを完全に抑え込んだという報告もあり、期
待できる治療法です。

■ 高い薬剤費と副作用発現率
ニボルマブが発売されたときからニュースなどにもなっている薬剤費の高騰問題。今
回新たに使われるようになったイピリムマブも免疫チェックポイント阻害薬の一種で
あり、同様に非常にコストのかかる治療法になっています。もちろん命とお金は比べ
られるものではありませんし、私ももし腎がんになったら使いたいと思うでしょう。
しかし、結果だけ見れば数カ月間の延命に対して、果たしていくらまで支払うことが
でき、どこまで国費でまかなうのか。それだけの費用を払えない人は使ってはいけな
いという理屈もまた、厳しく聞こえます。これは非常に難しい問題です。しかし、こ
の問題については今後なんらかの手を打たないと数十年後には薬があっても使えない
社会になりかねません。

そしてもう一つ、高い副作用発現率です。ニボルマブ単剤だと副作用は78.6%といわ
れており、うち重篤なものは18.7%でした。これがイピリムマブと併用すると
93.1%、うち重篤なものは45.7%となります。これは腎がんでの従来のスニチニブな
どの薬剤と比較すると、意外と低い数字ではあるのですが、問題はその副作用の内容
にあります。免疫チェックポイント阻害薬による副作用はいつ起こるのかの目安がな
く、症状も多岐にわたります。自己免疫性肝炎や大腸炎、1型糖尿病など、症状によっ
ては治療に難渋するものも少なくありません。

すばらしい成績をあげた新治療法ではありますが、その治療を受けている人、または
受けていた人は気になる症状があればどんなことでもすぐ医療者へ連絡し、相談する
という心構えが必要になるでしょう。

参考:https://www.bms.com/jp/media/press-release-listing/press-release-listing-2018/20180418.html

薬剤師
深井

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