前回は、自分も相手も両方とも大切にしながら、自分の意見を伝える方法(アサーション)について説明しました。今回は、具体的なセリフをご紹介したいと思います。

それは、「I(アイ)メッセージ」です。例えば、相手に行動をかえてもらいたいとき、相手に頼み事をしたいとき、相手を褒めるときなどが使うチャンスです。主語を「あなた」ではなく「わたし(I)」にすることがポイントです。(私は〇したい、私は〇と思う、など)Iメッセージを身につけることで、自己肯定感が上がりますし、周囲の人によい印象を与えることができます。2つの言い方を比べてみましょう。

例1)妻が夫に話をきいてもらいたいとき
1) 「あなたはどうして私の話をきいてくれないの?」
2) 「私はあなたに話をきいてもらいたいの」

例2)営業マンがお客様に商品をすすめるとき
1)「この商品、あなたに使ってほしいんです」
2)「この商品、私はとても好きでおすすめしたいんです」

例3)掃除好きな同僚をほめたいとき
1)「あなたはいつも掃除をちゃんとするね」
2)「わたしはあなたのちゃんと掃除をしてくれるところ、すごいなって思っているよ」

例4)夫が妻にお弁当づくりを頼みたいとき
1)「明日、君にお弁当を作ってほしいんだ」
2)「明日、お弁当を作ってくれると私は助かるんだ」
いかがでしょうか。自分が相手に言われたとき、自分が相手に言う時を想像してみてください。1)
よりも2)のほうが言われて気持ちが良いし、言っている自分も気持ちが良いという感覚はありま
せんか・・・?

相手に頼み事をしたいときというのは、焦っていたりイライラしたりしている時が多いので、急に、上記のような言い方をすることは難しいかもしれません。ふだんから、こころのなかで、「わたしは〇が好き」「わたしはいま、〇と思っている」「わたしは〇がしたい」など、「わたしは」を主語にして考えるくせをつけてみてはいかがでしょうか。

また、ふとしたときに、大切なご家族や友人、知人に対して、「あなたはどう思っている?」「あなた
はどうしたい?」など、相手が、「わたしは・・・」で返答できるような質問をしてみましょう。きっと感謝されるはずです。お互いがお互いの気持ちや意見を尊重しあう、そんな関係を築いていくことが
、精神疾患の予防につながると思います。

医師・精神科医
樋野 (ひの)
PAGE TOP