今回はステージ4の胃がんのお話をしたいと思います。厳しい状況についてのお話も含みますので、抵抗のある人はご注意ください。

■ステージ4とは?
胃がんにおけるステージ4とは、他臓器への転移を意味します。よく「ステージ4=末期がん」だと考えている人もいらっしゃいますが、厳密には末期がんという定義は曖昧なもので、「手術が適応できるステージ1〜3は早期がん」か「ステージ4は進行がん」というように分けるのが一般的です。とはいえ、ステージ4の胃がんであることは厳しい闘病が予想されることは確かです。他臓器に転移しているということは血中・リンパ中にすでにがん細胞が入り込んでおり、胃だけ手術で取ればいいというわけではないことが多いからです。個々の症例について違いはあるものの、基本的には抗癌剤による全身化学療法となることが多いでしょう。しかし、この全身化学療法というものについては正しく認識しておく必要があると思います。

■間違った認識をしてほしくない
「あと1、2回くらい治療すれば終わりますかね?」などと聞かれることもよくあります。厳しい現実ですし受け入れがたいのはとてもよく理解できますが、ステージ4である以上、化学療法は基本ずっと続けていく必要があることが多いでしょう。方針がわからないまま続いていく治療ほどつらいものはないと思います。そして「治すため」の治療なのか「長生きするため」「残された時間をよりよく生きるため」の治療なのかということも考えなくてはなりません。より良く生きるための治療であれば、無理して副作用を我慢する必要はありませんし、自分のやりたかったことを押さえつけてまで治療のスケジュールを厳守する必要もないと思います。その点を主治医ときちんと共有し、1,2週間くらい、治療が延期しちゃっても構わない、しんどかったら薬の減量も考えていい。最悪、やめてもいい。という選択肢を知ることが張り詰めた気持ちを楽にできるのではないかと私は思っています。

■ステージ4胃がんの化学療法

ステージ4の胃がんでは主に
・ フルオロウラシル系抗がん剤(5−FU、カペシタビン、TS-1)
・ 白金製剤(シスプラチン、オキサリプラチン)
・ タキサン系抗がん剤(パクリタキセル、ドセタキセル)
・ 分子標的薬(トラスツズマブ、ラムシルマブ)
・ 免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)

が使われます。がんそのものの症状でも胃もたれや胃痛などに伴って食が細くなりがちなので、吐き気があれば遠慮せず相談し積極的に吐き気止めの調節などを図っていくべきでしょう。オキサリプラチンやパクリタキセルを使用する場合はしびれが問題になるケースが多いです。特にパクリタキセルは2つ目以降の治療で使用することが多く、もし1つ目の治療でオキサリプラチンを使っていてしびれを無理に我慢していると症状が悪化して治療に差し支えることも考えられます。

また、よく話題にあがる免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブもが使われています。当初記事にしたときほど副作用に対して楽観できないかな、という印象は強くなってきてはいますが、実際にほぼ副作用がなく高い生活の質を保てている人も一定数いるため、難しいながらも期待していい薬だと個人的に感じてはいます。現在、ニボルマブとその他の抗がん剤・分子標的薬の併用やより早期からの免疫チェックポイント阻害薬の使用などについてさまざまな治験・臨床試験が動いています。免疫チェックポイント阻害薬はその特性上、より早期からの導入ががんに大きな効果を示す可能性があるとも言われています。早く良い報告がなされることが期待されますね。

薬剤師
深井

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