前回からの続き

ここまで、クライエント中心療法について述べて参りました。次は、力動的精神療
法について触れてみましょう。

力動的精神療法は、クライエントの「無意識の活動」に焦点を当て、それによって
引き起こされていた有害な感情や行動を、心理療法家がフィードバックして理解さ
せることで、クライエントに「無意識に支配されない自由な心の働き」を取り戻し
てもらおうとする心理療法です。

理論的な背景の違いから主に、

・精神分析派心理療法(無意識の葛藤やトラウマによる影響を重視、フロイトを源
流とする)
・ユング派心理療法(言葉ではなくイメージや文化の持つ象徴的な意味を重視、ユ
ングを源流とする)
・アドラー派心理療法(症状の「原因」ではなく、症状に隠された「目的」を重
視、アドラーを源流とする)

といったものが、この力動的精神療法に含まれます。精神分析という言葉は有名で
すから、あなたも一度は聞いたことがあるかもしれません。また、アドラー派心理
療法の背景となるアドラー心理学は近年の日本で再注目され、多くの一般書の出版
を介したブームとなっているのをご存じかもしれません。

私は、これら力動的精神療法の専門家としてトレーニングを受けたわけではありま
せん(本式には各々5年以上の専従研修が必要でしょう)。しかし、これらの心理
療法の中心となる概念はそれぞれ非常に重要なものであり、またクライエントの悩
みの中心的なテーマになることもしばしばです。そのため私は、これら力動的精神
療法についても努めて理解を深め、エッセンスを日常臨床に応用するようにしてい
ます。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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