前回からの続き

あなたも信頼できる友達に悩みを聞いてもらうと、自然に心が落ち着いてきますよ
ね。そして、そういうことを何度か繰り返すうちに、なぜか道が開けたような感覚
になったことはありませんか?こういう心理的な効果を専門的立場からひき起こそ
うとするのが、このクライエント中心療法の狙いの一つです。

このように天性の聞き上手の人であれば、無意識的に行っていることがあるくらい
の自然な感じの心理療法です。ですから、こうした傾聴、受容、共感を中心とした
クライエントとのかかわり方は、現在ではカウンセラーだけでなく、看護師や医師
、ケースワーカーといったほとんどの対人援助者にも推奨されるようになっています。

がん療養に関する心理療法も、通常はこのクライエント中心療法を基本として行わ
れるはずです。それだけシンプルかつ効果的な心理療法の基本とされているのです。

ただ、もちろんのことですが、すべての心理的課題がこのクライエント中心療法で
解決するものでもありません。悩みや心理的な症状は多種多様ですから、ケースバ
イケースでそれぞれにあった療法を選択していく必要があります。

ですから、この療法を基本としながらも、ところどころにほかの心理療法を取り混
ぜていくというスタイルをとっているカウンセラーが一番多いのではないかと思い
ます。私自身は、クライエント中心療法をいつも用いるわけではありませんが、や
はり大きな選択肢の一つであることには違いありません。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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