今回からは、がん腫(しゅ)別のお話をしていきたいと思います。ある日、がんだと告知されると、ほとんどの人は頭がまっしろになります。医師はいろいろと細かく説明をしてくれますが、全然耳に入ってこない。情報が整理できず、ついていけない。とても当然のことと思います。そんななかでも必ずひとつだけ覚えておかなくてはならない情報があります。それはステージです。

「お医者さんの言う通りにしていれば安心だから。知りたくない」という人もいます。もちろん恐怖が伴うことですし、知らずにいたいという気持ちは理解できます。ですが、ほかならぬ自分自身のこと、きちんと理解し、納得して治療に臨めるのが一番だと私は思うのです。

■ 胃がんのステージと治療方針

他のがん同様に胃がんはその進行度合いによって1〜4のステージで分けられており、これが理解を困難にするポイントだとも思うのですが、ある程度、理解することは治療をきちんと進めるうえで重要なことになります。
ステージ1〜3はいわゆる早期がんといわれるものになります。がん組織が胃の内側、粘膜や筋肉まででとどまっているか、あるいは胃を破って近くの臓器まで広がっているか、リンパ節にどれくらい転移してしまっているかによって1〜3のどれかに分類されます。基本的にステージ3までの場合は手術が最も有効な治療選択肢となります。
ステージ4というのは進行がんと言われるもので、胃以外の臓器にリンパや血液の流れにのってがんを移動してしまっている状態です。リンパや血液のなかにがん細胞がすでに入ってしまっているため、この場合は手術ができないのです。こうなると治癒ではなく、「がんとどれだけ長く共存できるか」というところへ方針が移らざるを得ません。

■ 早期胃がんと術後補助化学療法

ステージ2,3であっても手術のあとに術後補助化学療法という再発を予防するための抗がん剤がすすめられます。「せっかく手術頑張ったのに抗がん剤だなんて!」と、何度嫌がられたかはわかりませんし、気持ちもよくわかりますが、個人的にはこの術後補助化学療法はやっておくほうがよいと考えています。術後補助化学療法はステージにより違いはありますが、再発率を10%前後減らすことが報告されています。半年もしくは1年間行う必要があり、治療を行ったからと言って絶対再発しないわけではないということが判断を難しくします。しかし、治療せずに再発したとき、「もしあのとき治療をしていれば…」と後悔している人も何人も見てきました。絶対ではないにせよ、あとで後悔しないためにやるというのも一つの考えだと思います。

もし治療がどうしてもつらければ途中でやめたいと言うことも可能です。一度始めたら引き返せないものではないので、ぜひ前向きに検討してもらえたらと思います。

薬剤師
深井

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