さて、少し間が空いてしまいましたが、大腸がんの患者さんの痛みに私たちはどのように対応
しているのでしょうか。

患者さん:Aさん 68歳 男性
情報:数カ月前から便が少し黒っぽく気になっていたが、なんとなくそのままにしていた。最近
疲れやすくふわふわするので近くのクリニックで検査してもらったところ貧血があり、便潜血が
発覚。精密検査を行ったところS状結腸がんであり、肺と肝臓に転移があることがわかった。
最初の治療法は「FOLFOXIRI+Bev」に決まり、治療を開始していたが、今回新たに左肩の痛
みから肩甲骨への転移がみつかってしまったため、痛み止めと骨修飾薬を使用しつつ、痛み
止めを開始した。

■CR、PR、SD、PD…がんの治療効果の考え方
よく抗がん剤の効果の有無を「PDになったから」とか「PRだから」というふうに医療者は表現し
ます。これはどんな意味なのでしょうか。
がん病変への効果の判断はCTなどの画像診断で行われます。この評価基準(RECISTと呼
ばれます)では、腫瘍が完全に消失することをCR(Complete Response)といいます。完全にとまでいかないまでも明確な腫瘍の縮小(30%以上の縮小)はPR(Partial Response)になります。

このふたつは明確な治療効果があると考えられます。

では、腫瘍の大きさが変わらないことを指すSD(Stable Disease)はどうでしょう。
実はこれも効果があるとして治療を続けていくことが多い段階です。薬の効果とがんの増大がほぼイコールのため現状維持ができていると考え、「現状維持できるくらいは効いている」と判断できるからです。

一方、PD(Progressive Disease)は腫瘍が増大したり新病変・新転移巣が出現したりすることを指します。治療をしていたにも関わらず、腫瘍が増大してしまうのは、残念ながら薬の効果
がなかったという判断になってしまいます。他の治療薬への変更を検討すべき状態だというこ
とです。つまり、化学療法の評価はCR>PR>SD>PDという順に悪くなります。

今回の例ではどうでしょう。FOLFOXIRI+Bvをしているにも関わらず新たな骨転移が出現して
しまいました。主病変といわれる大腸やはじめから存在した肝臓や肺への転移巣への効果を
判定するためにCTを撮ってからの判断にはなりますが、これは残念ながらPDとなる可能性
が高いです。そういった判断に基づいて、以前お話したように次治療に移行していくわけです。

ここまで大腸がんを例に
 一次治療の選び方とその根拠
 副作用対策
 痛み止めについて
 治療変更を考えるとき
と、一連の流れについてご説明しました。

この基本的な思考の流れが皆さんに少しでも伝わって、「あれはなぜ治療が変わったんだろ
う」「なぜ今はなんともないのに副作用のための薬が出てるんだろう」などの疑問が解決して
いただければ幸いです。

薬剤師
深井

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