いまやどこにいてもその話題を聞くくらい、人工知能(AI)の研究は盛んです。働き方改革や業
務効率化への関心が高まる昨今、主に仕事との関連から、AIに対して興味や不安を持つ人
も増えてきていることでしょう。

そんなAIの研究が特にホットな分野の一つが医療です。AIと医療のコラボレーションには、よ
り正確かつ迅速な治療・診断、また医学研究の発展の可能性が秘められていると考えられ、
また重労働の医療従事者の負担を軽減することが期待されています。
この連載の導入として、この記事では、AIは医療の現場でどのようなことができるのかについ
て概論的に考えていきます。

■医療とAIのコラボレーション:1 画像診断

まず挙げられるのは、CT画像などの医療用画像を解析し、病気を診断するAIです。すでに一
部では実用化の向きもあり、医療とAIのコラボレーションとして最もホットな領域といえるでしょう。

■医療とAIのコラボレーション:2 問診

論文などから学習し、言葉での病態把握、すなわち問診を行う能力を持ったAIも生まれてき
ています。「ロボットが医師になる」というSFのような未来もあながち否定できないかもしれません。

■医療とAIのコラボレーション:3ロボット(脳とコンピューターの連携)

まるでSFのような、脳や神経と連携するコンピューターの研究が現在世界的に進められてい
ます。運動麻痺のある患者さんが、運動を行う際に発生する脳波をコンピューターが分析・学
習し、ある部位を動かそうとする脳の活動を読み取り、そこを機械によって動かそうとする技
術です。

上記のような、脳波と身体の動きの連携を実現する、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれ
るAIの動作原理が用いられます。

■医療とAIのコラボレーション:4 新薬開発

新薬開発の過程はとてつもなく長く、かつ困難な道のりです。一般に、200億円以上のお金と
10年以上の歳月が新薬開発に必要と言われます。
こうした莫大な費用と時間がかかる創薬の過程にAIを用い、開発の負担を格段に減らそうと
する試みがあります。これには「ビッグデータ」というAIと一緒に語られることの多いものも関係します。

■医療とAIのコラボレーション:5 DNA編集技術

最先端医療は、われわれの根幹をなすDNAを解析するのみならず、それを編集しようとする
技術までも生み出しています。このDNA編集技術に加えてAIの手法を用いて、遺伝病などの
治療に応用しようという試みがあります。

上記のほか、GoogleやMicrosoftがすすめる「AIの民主化」は、必ずや医療界にもインパクトを与えることと思われます。一方でこうした技術の発展が起こしうる新しい問題があることもまた事実です。そして何より、AI時代における人間の価値というものに、読者の皆さんは関心をお持ちになるでしょう。以上のような技術的な発展や倫理的な問題について、この連載では取り
上げていくつもりです。

次回は「人工知能ってそもそも何?―学習する機械について―」というタイトルでお送りいたし
ます。

医療者編集部
医療AIラボ
PAGE TOP