前回お話したとおり、今週は痛みについてお話したいと思います。

■ その痛み、がんのせいですか?
まずがん患者さんの訴える痛みに対して私たちが一番に行うことは「それががんの痛みかど
うか」の鑑別です。「痛い痛い」と言う人がいて、あれこれ悩んで鎮痛薬を処方したとしても、そ
れが実は20年前にぎっくり腰をやってからずっと引きずっているただの腰痛では元も子もな
いからですね。

がんの痛みだとすればそれで説明できるもっともらしい理由があります。たとえばそこが原発
巣の臓器の痛みが起こる場所だとか、骨に転移しているだとか、神経を圧迫していることが
予想される、といった理由です。それががんの増悪などのタイミングと一致して起これば「が
ん性疼痛」と考えて鎮痛薬の導入を考えることができます。
ですので、痛みがあるとき、それを医療者に伝えてくれるときはWhen(いつから)、Where(どこ
が)、What(どう痛いのか)を教えていただけるとスムーズです。

■ 3つの痛み
痛みは大きく3つに分けられます。ひとつは侵害受容性疼痛といわれるもの(難しい言い
方ですが)、もう一つは神経障害性疼痛と言われるものです。

1. 侵害受容性疼痛
侵害受容性疼痛はさらに大きく体性痛と内臓痛に分けられます。簡単にいうと体性
痛はすり傷などの怪我や炎症同様の痛みで筋肉や皮膚、骨などに起こる痛みです。
内臓痛は読んで字のごとく臓器の痛みで、管のような臓器(消化管などに)が詰まっ
たり、肝臓や腎臓などの炎症や腫れたりすることで痛みが生じます。しかし、臓器は
筋肉などに比べて神経線維の数が少ないせいで痛みが広い範囲に感じられ、ピン
ポイントで「ここが痛い」と表現しにくいことが特徴です。

2. 神経障害性疼痛
神経障害性疼痛は神経におこる痛みでその原因については一様でなく、複雑な痛
みであると言われています。神経繊維そのものにダメージが起きた結果起こること
が多く、具体的にはびりびり、じんじんといった、しびれるような痛みや感覚異常、知
覚過敏などが起こることがあり、治療は難しいことが多いと言われています。

■ 痛みの程度は?
痛みというのは主観的であって、検査や診察ではわかりません、その痛みをどう私たちが
捉えるかというと、Pain Sacleというものがあります。特によく使われるものとしてNRSとい
う概念があり、0から10で今の痛みを評価してもらうというものです。0が無痛、10が考
えうる最強の痛みとして、今数字でいくつですか?と聞かれたりするのがこのNRSになり
ます。「こんな数字になんの意味があるんだ」と言われる人もいらっしゃいますが、これは
治療の評価に大切なことなのです。たとえばもともと9だった人が5になれば、今の治療
はそこそこ効果があるようだけどもうひと押し必要じゃないだろうか、とか8が2になれば
ある程度しっかりした効果が得られているし、現状のまま様子見できるかもしれないと考
えるわけです。主観的な痛みを客観的指標に変換し、適切に痛みが取れているかどうか
を医療者みんなで共有するために必要だと認識していただき、どんな痛みですか、数字
でいうといくつですか?と質問されたら、面倒と思わずに自分なりにその症状を表現して
もらえると嬉しいです。

薬剤師
深井

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