前回からの続き

既述のフィッツヒュー・ミュランらが中心となって設立した全米がんサバイバーシ
ップ連合(National Coalition for Cancer Survivorship:NCCS)は、「がんの診
断を受けた者は、生涯を全うするまですべてがんサバイバーである」という表現を
用いて、がんサバイバーを定義しています。

こうしたことからも、「がんサバイバー」と「がん患者」は明らかに意味が違いま
す。「がん経験者」と翻訳することも可能かもしれませんが、この翻訳であれば、
もしかして「がんの治癒を得た人」という意味に聞こえることもあるかもしれませ
ん。やはり、そういった誤解を招かないことが必要です。NCCSが広めたい概念、「
がんサバイバー」の定義の核心は、がん初期治療の成否や再発の有無、症状の有無
に関係なく、「一度でもがんの診断を受けたことがある人全員」ということだから
です。

「サバイバー」に一番近い日本語は「生き抜く人」であるということは前述しまし
た。一度でもがんの診断を受けたことのある人は、治癒の有無や現在の病状がどう
あれ「がんを生き抜く人、生き抜いている人(=サバイバー)」であることは間違
いないでしょう。そして、がんの診断により多かれ少なかれ、その人の人生や生き
方、社会的状況に変化が生じるはずです。こうした重大な状況に直面したことのあ
る、もしくは現在進行形で直面している人が「がんサバイバー」として理解される
わけです。

そうです。まさにこの記事を読んでいる、あなたこそが「がんサバイバー」なので
す。

つづく

総合内科専門医/臨床心理士
飯島 慶郎

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