乳がんは、状況によっては手術にすすむことになります。そこで出てくるのが「今まで使っていた下着は術後も使えるの?」という疑問。部分切除で乳房を温存した人もいれば全摘出した人、それぞれが下着について「どうしよう…」と思うものの、家族には相談しにくいものです。もちろん担当医からも専用の下着について説明もあるものの、事前に知っておくことで下調べをしたり、準備する時間も作ったりすることができます。
そこで今回の「乳がん・子宮がんを語る女子会」では、これから乳がんの手術を控える女性に役立ててほしい、乳がん手術後の専用の下着についてご紹介します。

■手術後に専用ブラをつける主な3つの目的

乳がん手術後に使う専用下着は、大手下着メーカーやインターネット通販会社などでも取り扱いされています。「今まで使っていたものを代用したい」「パッドを中に入れれば大丈夫」と思われる女性もいるかもしれませんが、そのまま使うと手術創部を締め付けてしまったり、十分保護できなかったりします。
実は、専用下着には今まで使ってきた下着とはちがう「術後の女性のからだに必要な機能」が備わっています。

保護機能
部分切除後の手術創はデリケートです。そのため胸を日常生活の衝撃から保護する役割があります。
バランスを整える機能
パッドで胸のふくらみを補うことで、自分のボディイメージを整えられます。また左右のバランスをとることでからだのゆがみが出ず、肩や腰への負担がかかりにくくなります。

見た目を整える機能
専用ブラとパッドを着用することで、術前の自分のボディイメージを取り戻すことができます。今まで着用してきた服を再び着ることができるので、仕事や日常生活にも自信をもって復帰することができます。パッドにはウレタン製やシリコン製などがあります。

■手術別の使用下着

乳房切除術後に再建をしない場合
専用ブラとシリコンパッドでボリューム調整をすることができます。
医療用のシリコンパッドは乳房のような弾力性があるため、胸のボリュームを補いつつ、術後の傷を日常生活上の衝撃から守るクッションになってくれます。

乳房再建術を受ける場合
手術後にエキスパンダーを入れて胸の皮膚を拡張する際、ボリュームの変化に対応できる伸縮性の高い専用ブラがあります。再建手術を受けるまで使用します。

乳房温存手術をした場合
手術後は専用ブラを使用します。(乳房温存手術であっても、切除部分が大きい場合はパッドで補正できます。)温存した場合は、手術創部が落ち着いたら手術前の下着も着用できるようになります。ただしワイヤーが当たる部分や脇の締め付けが気になるときは、専用ブラの方がリンパの流れを妨げずに済むでしょう。

■手術後の回復に応じて使い分けするポイント

乳がん手術を受けると、回復の段階によってからだにフィットしやすさも変わってきます。
からだに負担をかけずに回復がスムーズにすすむように、その都度もっとも自分に合ったものを選ぶことが大切です。

第一段階:入院~手術直後
前開きタイプで脱ぎ着が簡単で、手術創部をしっかりと保護するやわらかい素材のものが適切です。また放射線治療中でも使用できるので便利です。

第二段階:手術後の痛みが落ち着く頃
手術創部とアンダー、脇、背中を締め付けすぎないように、ノンワイヤーでやわらかい素材のソフトブラかブラスリップがからだへの負担もなく適切です。必要に応じて軽量パッドも組み合せましょう。

第三段階:手術痕が落ち着き、日常生活に戻れる頃
手術創部が落ち着く1~2ヵ月以降から専用ブラを使用します。
仕事や家事などで動く機会も徐々に増えてくるので、締め付けずに適度にホールド力がある専用ブラと、自分の胸のサイズに合う適切な重さのシリコンパッドで調整します。

女性にとっては、術後の胸を保護すること同じくらい「以前の自分の姿を取り戻す」ことが大事な人は多いものです。特に現代の医療技術の発達によって、乳がんは「治療しながら働く」「治療しながら普段の生活を続ける」人が多くなったため、術後や退院後の生活も以前の生活と同様にしたいと願う女性は増えています。

専用下着の購入先については病院でもくわしく知っているスタッフや看護師がいるので、教えてもらうことができます。購入するときは目的によっても購入すべきものが変わってくるので、可能な限り試着をして、正しいサイズを選ぶようにしましょう。

乳がん・子宮がんを語る女子会
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