2007年のWHO(世界保健機関)の発表によると、飲酒は口・のど・食道、肝臓と大腸、そ
して乳がんのリスクになるとされています。男性ではお酒の通り道と、お酒を分解する
臓器のがんになりやすいと言えます。
原因としてアルコールが分解される過程にできるアセトアルデヒドに発がん性があるこ
とが知られています。

井上らが2005年に発表した7万人を10年間追跡した研究(Impact of alcohol drinking on
total cancer risk: data from a large-scale population-based cohort study in Japan.
Inoue M, et al. Br J Cancer. 2005.)では、1日に日本酒を2合以上飲む人は、飲まない人
に比べてがん全体の発生率が1.4-1.6倍に上昇することがわかりました。

また溝上らの2008年の論文(Alcohol drinking and colorectal cancer in Japanese: a
pooled analysis of results from five cohort studies.
Mizoue T, et al. Am J Epidemiol. 2008.)では、大腸がんに限ると、1日日本酒1合飲むだ
けでリスクが1.4倍になり、アルコールの量が増えるほどリスクが上がることがわかりま
した(1日に日本酒4合以上で3.0倍)。

お酒を週に1回未満しか飲まない人ではがんのリスクが変わらなかったことから、少なく
とも毎日お酒を飲むのはやめた方が良さそうです。
お酒を飲んで、さらにたばこも吸っている人では、がんの発生率が高くなる傾向があり
ました。たばこもお酒と同じく口やのど、肺などの通り道の臓器にがんを起こします。
つまり、お酒とたばこの相乗効果でよりがんになりやすくなるのです。
お酒とたばこを両方する人はきっと一度に両方やめるのは難しいのかもしれません。
しかし、がんの予防を考えると、まずたばこからでもいいのでやめることをお勧めします。

そのあと、お酒についても節酒・禁酒をしていくのが良いと思います。
どうしてもお酒がやめられない人は、自分はがんが起きやすいという意識をもってがん
検診などを行うことで、早期に見つけて治療することができるのではないでしょうか。
アルコールを毎日たくさん飲むと、アルコール性肝障害といって、肝臓に負担がかかっ
ている状態になります。このステージであれば、お酒をやめたり減らしたりすればある
程度は回復します。

しかし、肝機能が悪くなっているとわかった後もお酒を飲み続けると、肝硬変のステー
ジに入り、お酒をやめても不可逆なダメージが肝臓に残ってしまうのです。
肝硬変は肝臓にがんができやすい状態であるため、肝硬変になってからお酒をやめて
もがんになりやすい状態は元には戻りません。若い頃の負担が将来の悪い結果として
返ってきてしまうので、休肝日を作ったりお酒の量を減らして、しっかり毎年の健康診断
で肝臓の状態をチェックしましょう。

内科医
村本

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