今日はどのようにがんと付き合いながら働くのか、一緒に考えてみましょう。
コラムを読んでいる人の中にも治療と仕事、どちらに重きを置くか、悩んでいらっしゃる人がい
るはずです。多くのがん患者さんは、自分が置かれている状況の不確かさの中でも必死に意
味を見つけようと努力をしている人々であり、私はそのような患者さんに出会うたびに「生きる
意味」を教えていただいています。

看護師は看護援助を提供する側ですが、患者さんから人生の先輩として教えられることが多
く自らの生き方に影響を与えてくれる存在でもあります。だからこそ、そこにある問題に共に
立ち向かってきたいのです。

体が元気な時は、仕事をしながらも、家族や友人、自分の趣味などあれこれ考えバランスを
取りながら毎日忙しくしていたのではないでしょうか。無意識にも「あれもこれもがんばる」毎
日の中で周囲との折り合いを適度に持ち生活していく・・・その何気ない日常が突如がんの治
療によって立ち止まり考える時となったでしょう。

がんという病と向き合うため、「あれかこれか」選択を迫られたとき、たとえその選択が不本意
であったとしても最終的にはあなたらしく前を向いて生きていく強さがあると信じてほしいです
。なぜならば、ひとりひとりが大切な存在であり、自分でも気付かないくらいの大きな生命力を
持ち合わせているからです。

そして自分と向き合ったときに今まで以上に深く仕事の意味を考えるでしょう。自分にとって仕
事とは何だろうか、と問い続け、自分の責任を果たすために何かしらを犠牲にしてまでも仕事
を全うすることに使命を感じ、その使命感が生きる力に代わることもあるはずです。

前回のコラムで、恐縮ながら私の父親のがんについて少しばかりお話させていただきました。
父は後期高齢者である今も、病と仕事に向き合う毎日を一歩ずつ生きています。幸い今のと
ころがんは克服できましたが、合併症で不自由な体であるため毎日訪問看護のお世話になっ
ており、看護師さんには私も同業者ながら頭の下がる思いでいます。そのような不安定な中
ではありますが、父は長年管理職でしたので残された仕事をするために介護用ベッドから起
き上がり、自分を舞妓しているようです。仕事をとりまく周囲の人々には迷惑をかけながらで
も、できる力の中でなんとか任務を果たす姿を見ると自分の親ながら子としても看護師として
こんな生き方もあるのだと刺激を受けているところです。

がんにならなければもっと違う人生を歩んでいた、と後ろを向くときがあってもいい、行きつ戻
りつ心が揺れる中でも一歩でも前に進めますように。看護師は、そのような患者さんと共に生
きています。

看護師・保健師
舘野

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