2015年、米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために乳房を切除して再建手術を受けた姿を全世界に見せた時は、大きなニュースとして取り上げられました。からだにメスを入れることよりも、子どもとの未来を選択するという姿勢に、当時はとても驚かされました。と同時に、同じ女性として「乳がん」「乳房切除」「再建手術」について知り、考える機会にもなったのは事実です。おそらくそう感じた女性も実際多いのではないでしょうか。

いつ、だれがかかってもおかしくない乳がん。そして、もし手術を受けることになったら、多くの女性がその後の乳房の再建も考えるかもしれません。
そこで、今回の「乳がん・子宮がんを語る女子会」では、乳がんの手術後の乳房再建についてお伝えしたいと思います。

乳房再建とは?

乳房の再建とは、手術で切った(失った)乳房を、自らの体の組織やシリコンなどの人口乳房などを使って元の状態に近づける(再建する)方法のことです。
主に、乳がんで失った乳房の左右のバランスをとるといった見た目問題の解消や、乳房がないことで旅行に行けないという精神的な負担を軽減する目的でおこなわれます。
今までは当たり前のようにからだの一部だった乳房が、乳がんによってなくなってしまう喪失感は、実際に失った人でなければわかりません。
乳房再建することで、その後のケアは必要なものの、自分のからだに再び自信を取り戻し、手術前と同様の生活を送ることができるようになるようです。

乳房再建の方法

乳房再建には、人工乳房を入れる方法と、自家組織による再建という2つの方法があります。

(1)人工乳房(インプラント)
切除後の胸の筋肉の下に、皮膚を伸ばすための袋を入れ、生理食塩水を徐々に入れることで皮膚を少しずつ伸ばしていき、十分に伸びた後で人工乳房を入れていく方法です。人工乳房は、人体に影響のない安全なシリコンが使われます。

(2)自家組織による再建
からだの一部の組織を手術後の胸に移植する方法で、おなかや背中などの組織を使います。
どちらを選ぶかは、過去にどんな手術を受けたか(おなかなど)、将来妊娠・出産を予定しているか、現在の乳房のボリューム、費用面など、いろいろな要素がかかわってきます。乳房再建に関して、もっともくわしい情報を知っているのは医療従事者である医師です。どちらにするかは自分の担当主治医と相談しましょう。

乳房再建 ―気になる費用は?―

元々、人工乳房と自家組織を使った再建では、費用面で大きな差があった乳房再建。
以前は健康保険が適用されたのが自家組織による乳房再建のみでしたが、近年では健康保険の適用範囲が変わり、乳がん手術後の人口乳房による再建も適用になったことで、女性にとって選択の幅が広がりました。もしこれから再建手術を検討する人は、現在かかっている医療機関によっても費用が違うので確認してみてください。

民間の保険も保障してくれるところがある

現在、民間による生命保険会社や医療保険の特約で、「乳房再建費用」を保障対象としているものもあります。もしご自身が入っている保険があれば、契約書をよく読んでみましょう。また、くわしくは生命保険会社に問い合わせすることをおすすめします。

今までの自分を取り戻したい気持ちは自然なこと

子どもと温泉に行きたい。
彼氏と水着を着てプールに行きたい。
服装に気を遣わず隠さなくてもよくなりたい。
ほかの女性に引け目を感じず過ごしたい。
日常生活の不便さを解消したい。

失った乳房はもう二度と取り戻せないけれど、こうした気持ちが心に湧きおこるのはごく自然なことです。女性にとって外見が変わるのは、とてつもなく大きな負担になります。乳がんの手術後に再建する・しないを選択するのは個人の自由ですが、彼女たちの願いの多くは、「普通の生活に戻りたい」というのが圧倒的です。

乳房を再建することで女性としての自信を回復し、再び元の生活に戻ることができるのであれば、これから手術を控える人にとっても明るい未来の選択肢の一つになるのではないでしょうか。

乳がん・子宮がんを語る女子会
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