今回も患者さんの治療決定に私たちがどのような思考プロセスで臨んでいるかについて解説
します。今回は薬剤師が始めてお会いするとき、どこにポイントを置いて患者さんと接してい
るかについてです。

■患者さん情報:Aさん 68歳 男性

■症状:
数カ月前から便が少し黒っぽく気になっていたが、なんとなくそのままにしていた。最
近疲れやすくふわふわするので近くのクリニックで検査してもらったところ貧血があり、便潜血
が発覚。精密検査を行ったところS状結腸がんであり、肺と肝臓に転移があることがわかった
。今回、医師から化学療法を行うことを伝えられ、いくつか薬の組み合わせの候補があるから
決めてほしいと伝えられ、治療法は「FOLFOXIRI+Bev」に決まった。

■入院後、薬剤師との初対面
一般的に、まず薬剤師は患者さんが治療を始める前にお話をしに伺います。ここで事前に薬
のアレルギーや基礎疾患等がないかも確認し、今後使ってはいけない禁忌薬が使われそう
な場面で他の代替薬を提案したりします。
化学療法がはじまる前に一通り内容について説明し、ここで吐き気止めの強さや抗がん剤の
量が問題ないか再確認します。吐き気が強く出やすい人というのは傾向がありますし、検査
値やカルテ上の情報以上に本人を直接見て、どれくらい元気で薬に耐えられるかを見極める
ことが大切だからです。調製が必要だと感じたら医師と相談し、最終的にどうするか決まり、
いよいよ化学療法が開始されます。

■副作用の有無を直接見に行く
化学療法が始まると薬剤師はスケジュールと副作用が現れやすいタイミングを想定します。
まず当日伺い、アレルギー症状、急性期の悪心・嘔吐、強いしびれ、急激な腹痛や下痢がな
いか確認します。これはいくつもある副作用のなかから、当日〜翌日にかけて特徴的に起き
る症状をカバーするためです。何か起きた場合はその対応まで含めて確認・情報共有を行い
ます。同様に2日目以降の遅発性嘔気、1週後の下痢や口内炎、2週後の骨髄抑制と注意す
べき副作用が出やすいタイミングで特に念入りにお話を伺いにいきます。また、このときの副
作用の出方によって2コース目により安全に治療できるように次回以降に使用する副作用予
防薬の提案を行います。

■なぜその薬?
前回や吐き気のお話のとき、さまざまな治療方針や吐き気止めの使い方にはガイドラインが
あるとお話しましたが、それはあくまで基礎となるものです。それ以上のさじ加減が求められ
る状況はよくあることで、次回についてはそのさじ加減をどう考えるかについてお話します。

薬剤師
深井

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