がんの研究が進むにつれて、さまざまな診療科からの目線で腫瘍学が研究されるようになりました。

その中の1つに精神腫瘍学(Psycho-Oncology)という分野があります。
がん患者さんを精神科からみた学問であり、がんと診断された患者さんのうつ症状や適応障害について取り上げています。

厚生労働省の統計によると、健康問題による自殺者数は12000人にも登り、その大半をうつ病が占めています。

2014年のYamaguchiらの研究によると、がんと診断された人は、がんにり患していない人に比べて、1年以内に自殺するリスクが23.9倍になることがわかりました。

がんになったことによる精神的・経済的苦痛によって自ら亡くなってしまう命があるのです。

がん患者さんがうつ病をきたす時期は、告知後や再発後が多く、進行期肺と告知されたあとのがん患者さんの実に20%がうつ病を有しているとも言われています。

日本においてしっかり本人にがんの告知をする文化が確立されたのはほんのここ10年です。
まだ医師によって説明する方法やかける時間がさまざまで、決まった方法が確立されていません。

どんな告知であれば患者さんの精神的な苦痛が軽減されるのでしょうか?

2009年のFijimoriらの調査によると欧米と比べ、日本人はがん告知において情報を正確に伝えられるよりも、自分の心情を理解してほしいという傾向にあることがわかりました。

これは欧米が他民族国家であるのに対し、日本人が単一民族であるため、患者さんが医師に自分の背景を理解してほしいという気持ちが強いと解釈されています。

また告知をする内容が曖昧か正確かにかかわらず、医師から患者さんへのアイコンタクトがあることによって患者さんの満足度が高いことがわかりました。

がん終末期におけるQOLに関して、日本人は苦痛がないことに加えて、他人の負担にならないこと・家族や医療者との良好な関係を持つことを望むことが2007年のmiyashitaらの調査でわかっています。

周囲との良好な関係性ががん患者さんのうつ病予防に貢献することが期待されます。

がんが、死亡原因のトップを占めるようになったのはここ30年です。
患者さんに限らず、医師にとってもがんに対する心の準備が足りていない現実があります。

内科医
村本

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