前回からの続き

前回は「がんサバイバーシップ」という言葉を初めて紹介しました。今後、私はこ
の言葉の持つ意味について、もう少し詳しく考えながら、あなたと共有していきた
いと思います。こうした試みについて、もしかして「言葉の意味を深く掘り下げて
、うんちくを傾けること」にどれほどの意味があるのだろうかと、あなたは懐疑的
になるかもしれません。

とくに専門用語やいわゆる横文字に拒否感を感じる人も多いことでしょう。たとえ
ば、「どうして『がんサバイバー』などという、意味のわからない言葉を使うのだ
。日本語で『がん患者』といえば済むことではないか」という心理的な批判や拒絶
です。実は私もかつてそう感じることが多かった一人でもあります。

しかし、こうした専門用語や横文字を「あえて」用いる意味を再考することで、そ
の向こうにある真の目的が立体的に見えてくることにも筆者は気づいてきました。
すこし遠回りになるかもしれませんが、こうした専門用語の意味を積極的に理解し
ようとすることの意味と価値を、あなたと共有できればと考えて、あえて寄り道を
試みているわけです。また、こうした先進的で積極的な概念を多く深く理解するこ
とが、あなたががんと向き合う上での助けになると筆者が深く信じるからでもあり
ます。

ところで、従来から文字の種類が多く語彙(ごい)の自由度が高い日本語は、外来
語の輸入に適した言葉といわれています。それでも、例えば「がんサバイバーシッ
プ」のように、外国で発明された最先端の概念を輸入しようとすると、それなりの
困難を生じることは想像に難くありません。しかし歴史的にも私たちは、そうした
外来の語彙や概念の輸入を成功させることにより、自身の文化と教養を深くしてき
たことも、また事実です。

つづく

総合内科専門医/臨床心理士
飯島 慶郎

この執筆者の記事一覧

がんと診断されたあなたへ

PAGE TOP