肺がんやがん性胸水がたまった患者さんでは、つらい咳症状に悩まされることがあります。
咳が続くと、夜も眠ることができず、体力も削れてしまうため、身体的にも精神的にも疲労を感じてしまいます。
咳嗽のマネジメントを行う事も緩和ケアでは重要になります。

がんでない人でも、急性上気道炎(かぜ)で咳に悩まされた経験がある人も多いと思います。
もともと咳は、気道内の異物や細菌・ウイルスを出すために備わっている機能です。
痰が混じったようなぜろぜろした咳は湿性咳嗽と言います。

気道に異物が入り炎症が起きると、脳の一部である延髄にある咳中枢に刺激が入り、反射的に咳がでます。
反射的に出るため、自分の意識ではコントロールすることができないのがつらいところです。
かぜ症状の患者さんでは、この後紹介する鎮咳薬や痰を出しやすくする薬を使うことでせき症状を和らげることができます。

一方、肺がんの患者さんでは、気道に異物がないのに起きてしまいます。
がんや胸水によって神経が圧迫されることで咳が出てしまうのです。
気道内に痰などがないのに咳が出るので、乾性咳嗽、いわゆる空咳が出るのが特徴です。

咳嗽症状を緩和するために、コデインやモルヒネといったオピオイド(麻薬性鎮痛薬)が鎮咳薬として使われます。
このオピオイドでは、痛みを抑える仕組みと同じように、延髄の咳中枢の働きを抑えるため咳嗽を緩和することができると言われています。

またがん患者さんの息苦しさ・呼吸困難にはモルヒネが唯一エビデンスを持って効果が証明されています。

つらい咳嗽が出現した時に、我慢せずにオピオイドの頓用を使うことで咳嗽のコントロールができる場合があります。
自分で咳嗽をコントロールができると感じることで、身体的だけでなく精神的にも楽になります。

麻薬性鎮咳薬の副作用として、眠気があるため、日中眠くてつらくならないように容量を調節する必要があります。

非麻薬性の末梢性鎮咳薬としてはデキストロメトルファンがあります。
副作用が少なく使いやすいため、咳が出るかぜの患者さんによく使われます。
がん性の咳嗽に対する直接の効果は不明ですが、慢性の咳嗽に対して使用することで改善する場合もあります。

つらい咳嗽がある場合は、我慢せずに医師と相談して対処して下さい。

内科医
村本

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