今回は乳がん術後の運動について話していきます。

■はじめに
乳がんは一般的にセンチネルリンパ郭清が行われていますが、広範囲に腋窩リンパ節郭清
を行うこともあります。リンパ節郭清後は腋窩(えきか)の皮膚を切開するため、術後に運動を
行わないと可動域制限が起こる可能性が非常に高いと考えられます。

また、可動域制限から上肢の動きにくさを自覚し、上肢の使用頻度が低下すること、術後の
疼痛から安静期間が増加することから筋力低下も起こると思われます。この可動域制限が起
こると洗濯物を干しにくくなる、また更衣や洗髪動作が行いにくくなりますので、術後の上肢の
運動をしっかりと行うことが大事です。術後早期は理学療法士・作業療法士とともに実施しま
すが、退院後は自ら継続しなければなりません。その内容を以下に記載していきます。

■術後の運動
術後早期は術創の疼痛により上肢の挙上動作は困難です。疼痛が自制範囲となったらリハ
ビリスタッフと可動域訓練を開始します。おおよそ5〜10日程度が目安だと言われております。
方法はさまざまですが、可動域訓練開始直後は他動運動(他者に動かしもらう)から行い、
自動介助運動(他者と自分の力の両方で動かす)へ移行し最終的に自動運動(自分の力で
動かす)となります。退院後は自動運動で自主トレを行うようにリハビリスタッフに指導してい
ただく必要性があります。具体的な方法は万歳をする動作や滑車(プーリー)をした動作、ま
た棒を使用した方法などがあります。棒を使用した方法は両手で棒を掴み、前方から両上肢
同じ角度で上げていく動作になります。

また、筋力増強訓練も並行して実施すると良いと思われます。術後は自重で上肢の挙上動
作から開始し、徐々に重錘を使用し肩関節屈曲(腕を前方から上げる動作)と外転(腕を外か
上げる動作)の訓練を実施します。

■運動の効果
上記のような運動を行うことで、肩関節の可動域が改善すると言われています。しかし、肩関
節の可動域を改善させた上で、どのような動作が可能になるかが重要となります。例としては
、はじめにでも述べましたが服や下着の着脱、洗髪動作、洗濯物を干す動作が可能になるこ
とが目標となる方が多いでしょう。自分に必要な動作の獲得を目指して運動を行うようにして
ください。

次回は同じ乳がんに対して化学療法や放射線治療中・後に行う運動に関して述べていきます。

理学療法士
津田
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