今回から少し趣向を変えて、医療者側の頭のなかについてお話してみようかと
思います。

よく患者さんから受ける質問として、「先生にこの治療をすすめられたのです
が、なぜこの治療法なのでしょうか。他のでは、なぜだめなのでしょうか?」
というものがあります。こういった疑問はもっともな話で、本来、理解したう
えでの治療選択ができることが理想なのでしょう。しかし、現実問題なかなか
そこまではうまくいかないものです。

今回からのシリーズで治療方針や副作用対策を考えるうえで医療者側はどのよ
うな考えをもとに治療法を選択し、治療にあたっているのか知ってもらえたら
と思っています。それを知ることでより患者さん自身が治療に参加し、より良
い結果につながれば幸いです。とはいえ、あくまでいち薬剤師としての見解で
あることをご容赦ください。

■薬剤師って何をしているの?
まず、薬剤師が病院で何をしているかお話します。主に薬剤師は、このような
仕事をしています。
1. 薬の管理(仕入れ・価格交渉・保存環境管理・帳簿管理・決算報告なども)
2. 医師の処方に従って調剤(誤った投与法ではないかチェックしています)
3. 入院患者さんへの薬の説明
4. 医師や他スタッフへの薬剤の情報提供
5. 患者さんに使う薬の提案や削減
6. 抗がん剤などの点滴の調製
7. 市販されていない薬を手作りするなど

患者さんの目に入るのはおもに3〜5の範囲かと思いますが、特に5は実際に治
療に大きくかかわるポイントで、臨床にいる薬剤師として重要です。この一環
として患者さんのベッドサイドにいき、いろいろ話を伺ったりして医師と副作
用の対策や治療薬の選択について議論や提案を行っているわけです。

■治療法や副作用対策の根拠としているものって?
何らかの治療を行う際に、最も強い根拠となるのは臨床試験や治験です。薬の
理屈上、効くはずだという理論がいくらあっても、実際に人間に使用して効果
があったという根拠にはかなわないのが現実です。ですから、医師や薬剤師は
薬の投与の可否について考える際、必ず臨床データを加味します。しかし、臨
床データにも「質」があり、適切な統計処理がされていないとか、薬の効果か
どうかわからない要素がたくさん含まれていたりする怪しい論文のデータを採
用してしまうと誤った治療が施されてしまう可能性があります。これを評価し
て取捨選択することも大切な仕事になります。また、データが十分に存在しな
い領域もあり、そういった場合に理論を活用し、対処できないか考えたりする
こともあります。また、ときにはデータよりも理論よりも患者さん自身の声を
重視して治療法を考え直すこともあります。

次回から具体的な患者さんの例を挙げ、それに対して何を根拠とし、何を考え
、治療薬の選択をチームで議論・提案していっているのかをお話します。

周辺知識について詳細に説明するのは難しいかもしれません。また、一部専門
的で分かりにくいこともあるかもしれませんが、なるべく噛み砕いて、「なぜ
私はこの治療をしているのか」を解説していきますので、引き続きよろしくお
願いします。

薬剤師
深井

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