現在、多くのテレビ番組や雑誌に高血圧や高脂血症、糖尿病などとの付き合い方が
特集され続けていますが、将来同じような雰囲気で「がんと付き合う方法」という
情報が多く伝達されるようになるでしょう。それくらい、がんは身近でありふれた
病気になると私は予想しています。

実際、統計上もその傾向は明らかです。例えば、一生のどこかでがんにり患する確
率(累積り患率)は日本人男性の58%、女性の43%にものぼっています(公益財団
法人がん研究振興財団、がんの統計2013)。また、がんと診断されながら生存して
いる人(がんサバイバー)の総数は治療の進歩によって着実に増え続け、現在の日
本では530万人を優に超えるとされています(山口建:がん生存者の社会適応に関す
る研究,2002)。

がん患者である本人に加えて、家族や周囲の人々も含めると、むしろがんと全く無
関係でいる人を探すほうが難しいのではないでしょうか。すなわち、もはやがんは
特殊な病気ではなく「身近にありふれた病」(common disease)といえるのです。こ
のがんのcommon disease化という流れは、高齢化の進展とあいまって今後ますます
加速していくと考えられます。

こうした流れのなか、ここまで何度も触れてきましたように、がんの診断や治療そ
のものに勝るとも劣らず、診断や治療を受けた「その後」の重要性がますます高ま
ってきています。ここでいう「その後」とは初期治療中でも、いわゆる終末期でも
ない「その間の時間」、まさに本来の人生そのもの、生活そのものの時間のことで
す。しかし、この領域は長い間医学的にも社会的にも注目されておらず、いわば忘
れられた領域であり続けてきました。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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