今回は頭頚部がんの術後の運動に関して説明します。

■はじめに
頭頚部がんとはなにかというと、舌がんや咽頭がん、喉頭がんなどを合わせた
総称のことです。具体的な治療として抗がん剤治療はもちろん、リンパ節転移
を有する方には頸部リンパ節郭清術を行います。このリンパ節郭清術において
副神経という神経を切除する場合があり、副神経が障害されると胸鎖乳突筋や
僧帽筋という筋肉の麻痺が起こります。これらの筋肉が麻痺することで、肩甲
骨や首の動きに制限を認めたり痛みを伴ったりします。今回はここに対しての
病院でリハビリスタッフと行う運動の説明と退院後の自主トレに分けて説明し
ます。

■術後早期の運動(病院で行う運動)
頭頚部がんの手術は侵襲が非常に大きな場合がありますが、全身状態が安定し
ていれば、術後2~3日目から開始します。具体的にはベッド上で座るところか
ら始まり、徐々に足を下ろして座る、起立動作や歩行とリハビリが進みます。
場合によっては人工呼吸器を装着した状態で歩行訓練等を行うこともあります。

次に肩関節や首の運動ですが、この運動は上記で述べた運動に並行して実施さ
れます。具体的には手術後は僧帽筋を含めた肩関節周囲の筋肉が突っ張ること
で疼痛が生じる場合が考えられます。ここに対してリハビリスタッフが疼痛緩
和目的にリラクセーションやストレッチを行っていきます。また、同時に肩甲
帯をリハビリスタッフと一緒に動かすような運動も行います。具体的には、ベ
ッド上で寝ながら肩甲骨を回す動作、手を上に外から上に上げるような運動を
疼痛に考慮しながら実施します。

筋力増強訓練では疼痛が落ち着いてから実施し、回旋筋腱板(Rotator cuff)と
言われる筋肉を中心にゴムチューブを使用して行うことが多いです。

■退院後の運動
退院後は基本的には入院中に実施していた運動を継続します。ゴムチューブを
使用して肩をひねるような動作(肩関節の内旋・外旋)で筋力増強を図ります
。疼痛がない範囲でゆっくりとした動作で行うことが効果的です。ゴムチュー

ブはセラバンドという名称で販売されており、チューブの色によって負荷が違
うため自分にあった負荷のチューブで実施することが大切です。また、がん患
者ほとんどに言えることですが、ウォーキングなどの有酸素運動も並行して実
施することも必要です。

理学療法士
津田
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