前回からのつづき

こうした「クリエイティブな生き方」は、逆説的ですが「病を得たからこそ」獲得
された面もあるのではないかと、私は想像しています。病を持病ととらえ、それが
自分に課す制限を創造的に乗り越えるために、たくましさと行動力を身に着けてい
くという生き方もあるということです。

前置きが長くなりましたが、私が何を言いたいかと申しますと、現代のがん闘病に
は、がんとうまく付き合いながら、人生を積極的に生き抜く(楽しむ)というスキ
ルが必須だということです。高血圧や高脂血症、糖尿病といった持病を、人生のス
パイスの一つとしてポジティブにとらえ、より健康的なライフスタイルを再構築す
るのと似ています。

がんというのは前出の疾患よりは、明らかに辛(から)すぎるスパイスであるけれ
ども、同じように本来の人生の輝きを失わず、むしろ「より」輝かせることすらも
、場合によっては可能なのではないか。そんな示唆が「慢性疾患としてのがん」と
いう概念に込められている、私はそう感じるのです。

しかしおそらく大多数の人がそうであるように、たとえがんによって「より」輝く
ことまではできないとしても、この捉え方を用いることで「がんに集中し過ぎず、
目を背けず」というバランスが獲得しやすくなるでしょう。こうしたパラダイムシ
フトを実感することで、がんによって、あなたが「人生そのもの」を失ってしまわ
ないように生きてほしい、生き抜いてほしい。これが、いわば「持病としてのがん
」という捉え方(そして私も)があなたに対して発しているメッセージなのです。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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