さて、今回は前回に続いて脱毛のお話させていただきます。治療によってはほぼ回避できな
い副作用でもある脱毛に対して、どのようなケアを行っていけばよいのでしょうか。

■脱毛のマネジメント
該当する薬剤を含む化学療法を行う際は、事前に頭髪を短くし、帽子などを使用するといい
でしょう。長いとひっかかったりすることで余計に抜けてしまったり、まばらになった際に視覚
的にショックを受けやすいことが多いといわれています。
また、完全に剃ってしまうのも頭皮を傷つけやすいのであまりお勧めできません。抜け始めて
くるとパラパラと毛髪が散るため寝具まわりの掃除が大変になります。ニットキャップ等があ
れば散る毛髪量を減らせるので少しは楽になるのと、粘着テープローラーを用意しておくと良
いかもしれません。

事前にウィッグの用意をされる人もいらっしゃいますが、脱毛してしまった後だとサイズがゆる
くなってしまい買い直すことになってしまうケースもあります。予約をしつつ、業者さんとタイミ
ングの相談をしていくと良いかもしれません。
また、眉毛が抜けてしまった際にアートメイクという入れ墨をされる人もいらっしゃいますが、
これはMRIなどの検査に差し支えることがあるので控えたほうがいいでしょう。

■育毛剤は?
よくある疑問として、育毛剤を使ってはダメだろうかという質問を受けることがあります。治療
中の使用は血流への影響も考え安易には勧められませんが、抗がん剤が完全に終了して毛
髪が生え始めたら使用してもよいと思われます。他にマッサージなどもよいですが、毛染め、
パーマに関してはいつから明確に始めても良いという具体的な指標はなく、生え始めてきたら
美容師さんと相談のうえなるべく低刺激なものを使用するのがよいのではないかと思います。

■予防法は?
抗がん剤による脱毛の予防法としてディグニキャップという方法が最近注目されています。手
への副作用を防止するために氷冷手袋を使用するように、抗がん剤投与の30分前から終わ
る90~120分後まで頭皮を冷やして血管を収縮させることで抗がん剤の影響を軽減させようと
いうものです。まだ日本で実施している施設は多くはありませんが、乳がん、肺がん、胃がん
、大腸がんなどの抗がん剤治療において成果が報告されています。「JAMA」という雑誌に報
告された論文によると約半数の患者さんで脱毛の程度が減少したとも言われており、今後期
待されている予防法だといえるでしょう。

ただ、頭皮を冷やすことにより抗がん剤の頭皮への到達量も減少してしまうため、頭皮への
微小転移巣があった場合、治療効果を得られない可能性も指摘されています。新しいケアの
ため長期でのリスクはまだ不明点が多く、試したい場合は医師と相談のうえ検討してみてください。

脱毛は命に別状はないとはいえ、がん治療そのものへのモチベーションに直結します。特に
女性ではそのために治療をやめたいと考える人がいるほど、大きな問題であり今後更なる予
防策が期待されます。

薬剤師
深井

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