今回は脱毛についてお話ししようと思います。脱毛といえば抗がん剤の副作用
のイメージとしてかなり強烈にイメージされている副作用でしょう。身体イメ
ージの変化によるショックが強い症状ではありますが、それが致死的なものに
はならないこととその仕組みがはっきりとしていないために対応が今ひとつ進
んでいない分野かもしれません。

■殺細胞性抗がん剤により起こる
抗がん剤による脱毛の仕組みは明らかではありませんが、毛根にある毛母細胞
というものがダメージを受けた結果だと考えられています。頭髪は成長期・退
行期・休止期というサイクルを繰り返し、成長期に伸び、休止期に脱毛します
。成長期は2~6年で細胞分裂が盛んなため、この期間、抗がん剤によるダメー
ジを受けやすいと考えられています。育っている最中に抗がん剤で成長期は止
まり、毛根が変性してしまうことで脱毛が起きてしまうわけです。そのため、
投与後すぐではなく2~3週間してから脱毛が始まります。

抗がん剤による脱毛は一過性であり、抗がん剤終了後、あるいは脱毛しない抗
がん剤へ変更した際はまた生えてきます。ある程度生えそろうまでの期間は1
年ほどが一般的ですが、個人差があり、再生後の毛髪は髪質が変わったり、最
初は部分的に伸びる速度が異なったりすることがあります。また、抜けるのは
髪の毛だけに限らず、体毛ならどこでも抜ける可能性があります。最近よく鼻
水がでるようになり、アレルギーか風邪かと思いきや、鼻毛がすべて無くなっ
たことによる影響だったというケースもありました。

抗がん剤のなかでもよく脱毛する薬剤はタキサン系(パクリタキセル、ドセタ
キセル)や抗がん剤性抗生物質(カルセド、アドリアシン、ファルモルビシン
)、微小管阻害系(エトポシドなど)がよく挙げられ、これらは7-8割の人が
脱毛を経験します。一方で白金製剤(シスプラチンなど)やフルオロウラシル
系(5-FUなど)は脱毛の頻度は1割以下であまり見られません。

具体的によく脱毛が見られる代表的な治療法としては

・FEC療法(術前/術後/再発または転移性乳がん)
・EC療法(術後/再発または転移性乳がん)
・FOLFIRI療法(再発または転移性大腸がん)

・FOLFIRINOX療法(再発または転移性膵臓がん)
・DTX単独療法(乳がん)
・TC療法(卵巣がん)
・DC療法(卵巣がん)
・(R-)CHOP療法(悪性リンパ腫)
・Nab-PTX療法(乳がん、胃がん、膵臓がんなど)

などが挙げられます。もちろんこれだけではありませんが、これらの治療を行
う場合は脱毛の可能性があると、心づもりをされたほうが良いかもしれません。

次回は脱毛のケアについてお話ししたいと思います。

薬剤師
深井

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