はじめに
消化器(胃・大腸)・肺・前立線がんの治療として進行度を表すステージによっ
て、抗がん剤治療・放射線治療・内視鏡治療・外科治療などが選択されます。
この回では上記のがんの外科治療(手術)を控えている人が行う運動をお話して
いこうと思います。筋力増強訓練や有酸素運動はもちろん大切ですが、今回は
呼吸リハビリテーションといって、私が勤務している病院で実際に行っている
ことを簡単に説明していきます。

上記のがんが進行すると、手術では開胸術・開腹術という胸やお腹にメスを入
れることによる呼吸器合併症が起こる可能性が考えられます。呼吸器合併症と
は手術後に起こる肺炎、痰が気道・気管を閉塞して起こる無気肺を指します。
この呼吸器合併症を予防するために術前の運動が必要となります。これは日本
リハビリテーション医学会のがんのリハビリテーションガイドラインでも推奨
されています。

■運動
入院をしていれば基本的には理学療法士が呼吸リハビリテーションを行います
が、術前にリハビリがない場合もあるようです。その場合は後述することを行
ったほうがよいでしょう。

1.腹式呼吸
深呼吸をするように鼻から大きく息を吸い、ゆっくり口から吐くようにします
。腹式呼吸ですのでお腹が膨らんでいるか確かめるために、腹部に手を当てて
行うと分かりやすいと思います。注意点としては深呼吸を連続で行うと過換気
となりやすいため、5回毎に通常の呼吸に戻すといいでしょう。

2.排痰練習(咳)
術後は痰(たん)の量が増えるため、痰を出す咳の練習が必要です。手術後は
傷の痛みがあるため、手術で傷ができる場所をクッションや手で軽く押さえて
咳をする練習をしましょう。鼻からゆっくり大きく息を吸って咳を意識すると
より効果的です。
※術後の運動はこの回以降で詳しく述べますが、傷が痛くて咳が困難な場合は
可能な限り息を吐く速度を速めるような方法をとると有効です。

3.頸部・肩甲帯周囲のストレッチ
首を前後左右に倒す、肩をすくめる、肩の後ろを伸ばすように手を組んで前方
に引き出すような方法をとる。

■運動の効果
開胸術・開腹術を行う前に上記のような運動を行うことで、呼吸器合併症の発
症率に差があるといわれています。

■追記
喫煙者は呼吸器合併症の発症率が高いとされております。喫煙者は一酸化窒素
の血中濃度が高く、術後に気道内分泌物(主に痰)が多くなるとされています
。したがって喫煙者は手術することが決まったら、禁煙することをおすすめし
ます。

理学療法士
津田
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