子どもが成人する年齢になっても親からみれば、子どもはいつまでも「子ども」です。きっと、
かわいくて大切な存在なのではないでしょうか。だからこそ、心配や不安から、自分ががんで
あるということを伝えるのをためらってしまうこともあると思います。しかし、がんだとわかった
ときは、子どもの状況をみながら、しっかり伝えてあげてください。もし、突然「自分の親がが
んだった」と知らされたとき、子どもはどう感じるでしょうか。「親が苦しんでいるときになにもで
きなかった」とずっと後悔し、心を痛めるかもしれません。子どもが大切な存在であればある
ほど、きちんと伝えてあげることも、愛情のひとつです。

■病名、現状、今後について伝える
疾患名はもちろんのこと、病状や治療方法、それに伴う身体的変化、こころの変化、副作用な
どの情報を正確に伝えましょう。話の直後は、「がん=死」というイメージもあり、事態がうまく
飲み込めずに大きく動揺するかもしれません。その場合は、子どもの性格を考慮し、家族を
交えて話す、時間をあけて二人きりでじっくり話す、または医師に立ちあってもらい再度説明
を受けるなどの方法をとるのもよいでしょう。しかし、「理解=実感」「実感=受け入れ」ではあ
りません。動揺が落ち着き、実感するまでに時間がかかる人もたくさんいます。受け入れる段
階まで考えると、もっと時間がかかります。ケアを通して現状の理解を深め、受け入れるやす
い環境をつくるという方法もあるので、相談するなどして子どもの状況や性格にあった伝え方
で、正確に伝えるようにしてください。

■遺伝性のものなのか
成人している子どものなかには、すでに結婚している人や結婚を視野に入れている相手がい
る場合もあるかもしれません。そうなると、子ども自身や相手の親御さんのなかには、「自分
の子(孫)にも遺伝するのだろうか」と、心配する人もいます。ですが、現在は、検査で遺伝の
有無もわかりますし、発症しにくいよう事前に予防やサポートをしてもらえるところもあります。
もし、遺伝性腫瘍症候群と診断されたときには、医師に検査やサポート体制、発症のリスクな
ど具体的に確認し、正確に伝えるようにしましょう。

■ケアに参加してもらう
がんであることを伝えるとき、できる限りケアに参加してもらうように伝えてください。ケアに参
加することで、「親ががんである」ということを実感し、現実を見つめ、より受け入れやすくなり
ます。また、仮に、病状が悪くなり、別れが近づいたとしても、「ケアを通してともに過ごした時
間」は、記憶に残ります。今までの思い出や親への想いとともに心をゆっくり整えながら、精一
杯の親孝行ができる大切な時間となります。別れのあとの悲しみの感じ方も大きく違うので、
ケアへの参加は、できる限りしてもらうよう伝えてください。子ども自身の家庭や生活を考慮し
たうえで、どこまで関われるのか相談しながら進めていくようにしましょう。

■今後の治療方針の話し合いに参加してもらう
今後についての話し合いへ参加してほしいことを伝えましょう。抗がん剤の効果や身体状況、
進行度などによって、治療方法や方針は変わります。ステージが進むと、このまま治療する
のか、緩和ケアにいくのか、それとも在宅で過ごすのか、という複数の選択肢もでてきます。
とくに、緩和ケアでは、一般病棟では、できない寄り添ったケアが可能です。あとで「○○して
いれば…」「なにも知らなかった…」と後悔することがないよう、情報を共有し、ともに考えてい
くようにしましょう。

悲しさや後悔だけが残されるよりも、「大変だったけど、あのとき支えられてよかった」「別れは
悲しいけれど、やれることはやれたから悔いはない」と 子どもが前向きに受け止められるよう
伝えていくことが大切です。退院後はお互い笑い合えるよう、別れのときは悲しみだけが残ら
ないよう、「共に乗り越えることができる時間」を大切に過ごしてくださいね。

看護師
竹田
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