さて、今回は前回に引き続き皮膚障害についてお話しします。
前回お話したように皮膚障害には主に手足症候群と、EGFR阻害薬による皮膚障害
の2つが代表的です。今回はセルフケアとEGFR阻害薬による皮膚障害についてお話
します。

■何に気をつけて過ごせば良いのか
皮膚への障害をきたす抗がん剤を使用したとき、まずどのように気をつければよいの
でしょうか。まずは皮膚へのストレスを極力おさえることです。例えば雑巾などを強くし
ぼったり、硬いビンを開けるため強くひねったりすると皮膚へは強い負荷がかかりま
す。健康サンダルなども足の裏の皮膚障害を悪化させることもありますし、氷などの
冷たいもの、やけどしそうなくらい熱いものを持つこともおすすめできません。お化粧
は低刺激性のものを選び、ポイントメイクなどもよいでしょう。髭剃りは電動シェーバー
のほうが、カミソリより刺激が少なくて推奨されますが、カミソリを使う場合は無香料・
無着色などの低刺激のシェービングクリームを使うことをすすめています。もしかゆみ
を伴う症状がある場合、血液循環を良くする刺激物(アルコール、コーヒー、香辛料)
などを控えて、過度の暖房・低温度をなるべく避けるようにしましょう。

■スキンケアの具体的方法
前回からお話しているように、皮膚障害の対策で最も基本にして重要なのは保湿で
す。処方される塗り薬としては「ヒルドイドソフト軟膏」や「ケラチナミンコーワ軟膏」など
がよく使われます。「ケラチナミンコーワ軟膏」は「ヒルドイドソフト軟膏」よりも保湿力
が高く、角質を柔らかくする作用があるため、特に手足症候群対策でよく処方されま
すが、皮膚に亀裂などがある場合は染みてしまい非常に強い痛みを伴うことがあるた
め、「ヒルドイドソフト軟膏」や「サリチル酸ワセリン」などを用いた密封療法を行うとよ
いでしょう。もし、市販の保湿剤を使う場合はアルコールを含まない低刺激の弱酸性
の製品をおすすめします。

■軟膏の正しい塗り方は?
軟膏がいくつも処方されるとどう塗ればいいのか迷うこともあります。まず量について
ですが、「FTU(フィンガーチップユニット)」という概念があります。これは人差し指の
一番先から第一関節までの量の軟膏を1単位として使用量の目安にする考え方です
。(ローションなどの場合は1円玉大が1FTUとなります)一般的な成人なら、両手のひ
らで1FTU、足の裏(片足)1FTU、顔から首で2.5FTU、背中には7FTUほどになります
。検索してみるとすぐに出てくるので参照してみるとよいでしょう。塗る種類ですが、保
湿剤は粘膜以外ならどこに塗っても大丈夫なことが多いのですが、「ケラチナミンコー
ワ軟膏」は手足にのみ使えます。炎症をおさえるために使われるステロイド外用剤は
指定された部位にのみ使いましょう。ステロイドの吸収率はからだの部位によって異
なっているため、違う塗り方は副作用を招くこともあります。複数の軟膏を塗る場合は
、一般的に塗る範囲が広いものから塗りましょう。必要ない部分にまで軟膏が広がる
ことを防ぐためです。今回のような場合は保湿剤→日焼け止め→ステロイド軟膏が良
いでしょう。

いろいろと我慢しなくてはならないこと、気を使わなくてはならないことが多く大変かと
は思いますが、前回もお話したように副作用のコントロールが抗がん剤の効果維持
につながるケースも多いため、ぜひ頑張っていただきたいと思います。迷ったことは
受診先のスタッフに気軽に相談してみてください。

薬剤師
深井

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