緩和ケア病棟とは、がんの根治治療ではなく、苦痛を和らげて穏やかに過ごすため
の病棟です。

実際に緩和ケア病棟では、どのようなケアを行っているのでしょうか?

まずはがんによる痛みの管理です。がんが進行すると多くの場合がん性疼痛を認め
ます。まずは内服の鎮痛薬を定期的に飲み、痛みが増強した時にレスキューという
追加の薬を使います。

レスキューを1日に数回ですむように、鎮痛薬を増量します。しかし、からだが衰弱
して内服薬の使用が困難になった場合や痛みのコントロールが難しい場合は、モル
ヒネを含んだ医療用麻薬の注射を行います。

皮下注射といって、細い針を上肢もしくは下肢に挿入し、ポンプを使って持続的に
鎮痛薬を投与します。痛みが増強した場合はボタンを押すだけで追加の薬剤が投与
され、レスキューとして使用することができます。

がんによって徐々に全身状態が悪くなってくると、食欲が低下し食事量が減少して
いきます。からだが栄養を受け付けなくなるようなイメージです。

その場合、無理のない範囲で口からお食事を食べていただきます。持ち込み食で本
人の食べたいものを持ってくることも可能です。

さらに病状が進行して、全く食べられなくなったり、水分も取れなくなったりした
時は、点滴による水分・栄養の補充も検討します。しかし、そもそもからだが栄養
を受け付けなくなっているため、たくさんの補液はかえってむくみや呼吸困難を増
悪させるため1日少量にするか、補液を行わずに自然な経過に任せる場合もあります。

飲水を行えず口の中が乾燥するため、霧吹きや湿らせたガーゼで口の中を潤してき
れいに保ちます。

がんによって、痛みだけではなく息苦しさも自覚することがあります。自覚症状を
とるために酸素投与や麻薬鎮痛薬も効果があります。

栄養状態が低下して血液中のたんぱく質が減ると、からだがむくみやすくなります
。腹水といってお腹の中に水がたまって吐き気や腹痛の原因になります。肺に水が
たまる胸水では呼吸の苦しさにつながることがあります。そのため、症状が強い場
合は水を抜く処置も検討します。

最後は徐々に覚醒している時間が短くなり傾眠傾向となります。下顎呼吸になった
後、静かに息を引き取ります。

がん患者さんの最後の経過は想像以上に急速です。会わせたい家族にはなるべく早
く連絡をとることを勧めます。本人が話さない状態で苦痛がないかどうか表情を読
み取っていくことも大切です。

内科医
村本

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