がんの先端医療やそれ以外の医療を受ける場合、「医療過誤」の問題を完全に防止すること
はできません。もし、自分や家族が医療過誤の被害にあい、裁判を起こすことになったら
、どうなるのでしょうか。医療過誤訴訟は患者が勝つことが難しいといわれていますが、
実際に患者側が勝訴することができるのか、知りたいという人も多いでしょう。今回は、
医療過誤訴訟で患者側が勝訴した判例をご紹介します。

1.医療過誤で勝った裁判例
以下では、医療過誤訴訟で患者側が勝訴した事例のうち、比較的最近の事件を2つご紹介
します。

1-1. 検査中の医師の手技に過失があると認定された事案

1つ目は、乳がんの疑いのあった人が、悪性かどうかを確認するため「マンモトーム生検
」という検査を受けた際に起こった事件です。
このケースにおいて、被害者の女性はマンモトーム生検のために局所麻酔を受けましたが
、医師の手技の途中で咳き込んで気分が悪くなったため、検査が中止されました。その後
、被害者には胸部痛や息苦しさが発生し、翌日には胸部痛のため、救急外来を受診し、レ
ントゲン検査の結果、「左肺気胸」であるとわかりました。女性は、この症状はマンモト
ーム生検の際の医師の手技上の注意義務違反であると主張して、病院に対し、損害賠償を
求めました。このケースにおいて、裁判所は、医師の手技に注意義務違反を認定し、患者
側が勝訴しています(東京地方裁判所 平成28年5月25日判決)。
2つ目は、不整脈の治療のための薬を服用したところ、その副作用によって死亡した男性
の遺族が起こした訴訟です。

1-2.薬の副作用で患者が死亡した事案

被害者は、「アンカロン」という薬剤の処方を受けましたが、その副作用により「間質性
肺炎」にかかり、死亡しました。このケースで裁判所は、医師が早い段階でエックス線検
査などの適切な検査を実施していれば、被害者が薬剤性間質性肺炎にかかっていることを
発見できたはずであるとして、病院の責任を認めています(大阪地裁平成26年9月1日判決)

このように、医療過誤訴訟は、患者側が勝つことが難しいといわれていますが、きちんと
主張立証を行えば、勝訴できることも珍しくありません。医療過誤にあったのではないか
と疑うようなことがあれば、まず、医療過誤に強い弁護士に相談しましょう。

医療ジャーナリスト(法律家)
福谷 陽子
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