前回からの続き

長い間、がんの治療は外科療法(手術)が中心的であり主役でした。もちろん、放
射線療法や抗がん剤療法も存在していましたが、それらの位置づけは、例外を除い
て補助的なものでした(=補助療法)。ごく単純化していうならば、完全に取り除
くことができる早期のがんに関しては手術(+補助療法)、手術が適応とならない
非早期がんに関しては補助療法のみといったイメージです。

今も昔も、根治が期待できないがんには、例外を除いて手術を行うことはほとんど
ありません。そしてその場合、前述の補助療法を組み合わせて治療を行うわけです
が、その目的は延命です。延命という言葉は過去には、いかにも苦痛を伴う無意味
な治療というようなニュアンスを伴いましたが、現在ではもっと積極的な意味で用
いることが多くなっています。

改めて考えてみればわかることですが、そもそも根治をめざす治療以外はすべて「
延命治療」です。たとえば、おなじみの高血圧、高脂血症、糖尿病という三大疾患
に対する薬物療法も、全て「延命治療」であるといえます。これらの病気に対して
は多くの薬剤が開発されていますが、実はこういった薬剤は病気を「治す」ための
ものではなく、「コントロール」するためのものだからです。

つまり、治療を継続することによって病気をコントロールし、いずれは絶対にさけ
られない「死亡」をできるだけ先に延ばすということが、根治療法以外の治療の真
の目的です。これは、すなわち命を延ばす(=延命)治療そのものです。余談にな
りますが、高血圧、高脂血症、糖尿病に対する根治療法が見つかれば、各々につい
てノーベル賞の10個や20個に相当するくらいのインパクトはあるでしょう。それく
らい疾患の「根治」というのは現行の医学にとって、極めて厳しい難題なのです。

つづく

医師 総合診療医/心療内科医/漢方医/産業医
飯島 慶郎(いいじま よしろう)

臨床心理士/産業カウンセラー/認定産業医
総合内科専門医/家庭医療専門医/東洋医学会認定医

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