…前回からの続き
Aさんは抗がん剤治療を始めてから、体調の大きな変化に振り回されているような違和感を
抱き戸惑い、時には投げ出してしまいたいと感じていました。しかし、副作用の現れ方がだん
だんと分かるようになってきたと思うようになりました。

抗がん剤の治療後三日間は微熱が続いて強い倦怠感があり、また胃腸の調子も崩れました。
手足の末端のしびれ、むくみもこの期間は強くなります。そしてゆっくりとその副作用が落ち
着いていき、からだも軽くなる時期があるとわかってきました。

このからだが軽くなる時期がいつ頃になるかは、治療後により異なりました。疲れがたまって
いたり、体力を消耗していたり、食事があまり取れないなど、生活により変わりました。しかし
抗がん剤治療後でもからだが軽くなる時期があることがわかってきたので、Aさんはこの期間
に時間と体力を使う仕事に入れることができるように上司に相談しました。また同時に治療後
の数日間は体調不良が継続することも伝え、治療による体調の変化にサイクルがあることを
理解してもらえました。

このとき、Aさんは体調日記をつけており、この日記を上司に見せながら説明をしました。体調
日記には、体温、胃腸の調子、吐き気嘔吐の有無あるいは程度、手足のしびれ、むくみの程
度、痛み、副作用を抑えるために処方された薬の内服等、睡眠時間、動悸や息切れの有無
あるいは回数などを表にして、一週間ごとにまとめて見られるように記入していました。これは
病院からもらった資料をもとに、Aさんご自身が書きやすいように工夫したものでした。

視覚化することで、第三者からみても体調の変化が分かりやすくなりました。Aさんは今の事
務の仕事をできるだけ長く継けたかったので、親しい同僚にも相談をしておきました。同僚の
負担にならぬように、あらかじめ体調のことを伝えておき、調子の良い時期には残業などでき
ることを伝えておきました。こうすることで、Aさんは抗がん剤治療とその副作用に漠然と振り
回されているような、イライラした気持ちが少し軽くなっていくような気がしました。

抗がん剤治療と副作用と向き合うことにはとても勇気が必要です。しかし、自分の生活の質、
自分の望む生活に一歩一歩近づいている自信を得られるように感じていました。主治医にも
定期的に連絡が入る保健師にも、自分の体調や今困っていることなど具体的に説明できるよ
うになりました。

保健師/看護師
石毛 陽子
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